第31課
2ニーファイ11章と16章
はじめに
2ニーファイ11章で,ニーファイはイザヤの言葉に喜びを感じると言っている。さらにニーファイは,「わたしが
教え方の提案
2ニーファイ11
ニーファイ,イエス・キリストによる救いについて証することを喜びとする
3人の生徒を選び,それぞれの生徒に前回のクラスで起きた出来事ついて,黙って一文で書き表すように言う。自分の書いたものを,ほかの生徒と比較したり,話し合ったりしてはならない。2人以上の証人が存在することの利点について説明するため,3人の生徒に自分が書いた文を読んでもらう。最初の生徒が自分の文を読んだあとで,クラスに,その文が前回のクラスで起きたことを完全に描写しているかどうか尋ねてみる。次に,2番目の生徒にも同様に読んでもらい,その文が前回のクラスを完全に描写しているかどうか尋ねてみる。3番目の生徒も読み終わったら,同じ質問をする。
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複数の証人が存在することの利点は何ですか。
主は世界に対する主の証人として預言者を召されることを説明する。生徒に,預言者がイエス・キリストについて証をするのを聞くことは,自分にとってどのような意味があるか,深く考えるよう勧める。
ホワイトボードに次の文を書く。「イエス・キリストについて述べた預言者の証を研究することにより,イエス・キリストを信じる信仰を強め,キリストにあって喜ぶことができる。」
一人の生徒に,2ニーファイ11:2-3を読んでもらう。
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今読んだことによれば,ニーファイやイザヤやヤコブは,イエス・キリストの特別な証人となるために,どのような経験を積みましたか。
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数多くの預言者がイエス・キリストを証しているということは,なぜ大切だと思いますか。(モーサヤ13:33-35も参照)
2ニーファイ11:4-6の各節を生徒にさっと読ませ,ニーファイがすべての節でも繰り返し使っている表現を見つけるよう言う。
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「喜ぶ」とはどういう意味ですか。(ここで「喜ぶ」という言葉には,「好む」や「関心を持つ」という意味以上の深い感情が含まれることを説明する。ここでは,「うれしさ」と「満足」も含まれている。)
生徒に2ニーファイ11:4-7を黙読し,ニーファイは何について喜んだのか見つけてもらう。それからクラスを二人一組ずつに分けて,最も印象に残った言葉と,その言葉が印象に残った理由を話し合うように言う。また,自分にとって喜ばしいことは何か,イエス・キリストについてどのようなことに喜びを感じるか,話し合うように言う。
2ニーファイ11:8を読む。ニーファイがなぜ自分の記録にイザヤの言葉を含んだ理由を見つけるように言う。
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ニーファイは自分の民と,将来自分の記録(モルモン書)を読む人々に,イザヤの言葉を読むことを通じてどのような経験をしてほしかったでしょうか。
以下のリストは,ニーファイが自分の記録の中にイザヤの言葉を含めた理由をまとめたものである。
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イザヤは,ニーファイやヤコブのように,救い主にまみえていた(2ニーファイ11:2-3参照。2ニーファイ16:1-5も参照。イザヤが救い主にまみえたときの示現について記している。)。
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ニーファイはキリストについて証することを喜びとし,イザヤもキリストについて証した(2ニーファイ11:4,6参照。2ニーファイ17:14および19:6-7も参照。救い主に関するイザヤの預言の2つの例である)。
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ニーファイは主との聖約を喜んでいた(2ニーファイ11:5参照)。イザヤの預言は主との聖約に関連していた。例えば,イザヤは末日の神殿の働きについて預言している(2ニーファイ12:1-3参照)。
この課から4課にわたって,生徒は2ニーファイ12-24章に登場するイザヤの言葉を研究し,話し合うことを説明する。これらの章を研究することを通じて,救い主に関する証を強め,救い主に対する喜びを増してくれる真理を見つけるように生徒を励ます。これらの章から好きな聖句を見つけて,家族や友人に教えるように言う。
2ニーファイ16章
イザヤ,預言者として働くように召される
生徒たちに,次に研究するのは2ニーファイ16章であることを説明する。なぜならこの章にはイザヤが預言者に召されたときの示現が記されているからである。この示現についてよりよく理解できるよう,イザヤの記録には,象徴的な言葉が含まれていることを説明する。聖文には,象徴,予型,
次の単語をホワイトボードに書く。「すそ」「6つの翼を持つセラピム」「煙」「燃え盛る炭」。
生徒にこうした言葉を聞くと,頭に何が浮かぶか尋ねる。少し話し合った後で,イザヤは自分が神の預言者として召されたときのことを描写するためにこれらの言葉を用いたことを説明する。(イザヤの伝えようとした意味を生徒が理解できるよう助ける。象徴的な言葉の意味を分析し過ぎないように注意する。むしろ,イザヤのメッセージを生活に当てはめる方法を,生徒が自分で考えられるように助ける。)
一人の生徒に2ニーファイ16:1を読んでもらう。
ここの聖句では「すそ」は,ローブの縁のことを指すことを説明する。
一人の生徒に,2ニーファイ16:2-3を読んでもらう。「セラピム」とは神の
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セラピムの6つの翼は何を表しているのでしょうか。(手がかりに教義と聖約77:4読むよう生徒に勧めるとよい。翼とは,動いたり行動したりするための力を象徴的に表した語である。)
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主に対するセラピムの気持ちは,どのような言葉で表されていますか。
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あなたはこれまでどのようなときに,神に対してそのような気持ちを感じてきたでしょうか。
一人の生徒に2ニーファイ16:4と黙示15:8を読んでもらう。クラスの全員に,「煙が満ちた」という言葉の意味を見つけるように言う。(生徒がこの煙とは主の臨在,力,栄光を表しているということが理解できるよう,助ける必要があるかもしれない。)自分の聖典の2ニーファイ16:4の空白部分に黙示15:8と書き込むように生徒に勧めるとよい。
一人の生徒に,2ニーファイ16:5を読んでもらう。イザヤが主の御前でどのように感じたか書かれている場所を見つけるよう,クラス全体に言う。
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イザヤが「わたしは滅ぼされる。わたしは唇の清くない者……である」と言ったとき,どのような気持ちで言ったと思いますか。(イザヤ6:5の「滅ぼされる」という言葉については,ヘブライ語の「切り離される」という意味の語を翻訳した語であり,「唇の清くない」という表現は,イザヤ自身の罪と民の罪に対するイザヤの自覚を表しているということを説明するとよい。イザヤは,自分が主の御前にいるのにふさわしくないと感じていることを表現したのである。)
生徒に,イザヤがこのように感じていた理由について,深く考える時間を少し与える。預言者の中には,その召しを受けたときに自分はふさわしくないと語った人が何人もいることを説明する。スペンサー・W・キンボール大管長は,J・ルーベン・クラーク・ジュニア管長から「あなたは十二使徒定員会の一員として召されました」という電話を受けたときの気持ちを次のように記している。
「『ああ,クラーク兄弟。わたしではないでしょう。わたしのことをおっしゃっているのではないでしょう。何かの間違いでしょう。きっとわたしの聞き違いです。』わたしは話の重さに耐えきれなくなって,沈み込んだ。……
おお,クラーク兄弟。とてもあり得ないことです。わたしはとても弱く,取るに足りない,知性に欠けた無能な人間です。」(エドワード・L・キンボールとアンドルー・E・キンボール・ジュニア,Spencer W. Kimball: Twelfth President of The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints〔1977年〕,189)
義人であるイザヤでさえ,主の前では自分は「清くない」と感じ,「滅ぼされる」と思ったことを生徒が理解できるよう助ける。神の前で自分はふさわしくないという気持ちを感じない人はいないだろう。
ホワイトボードに次の真理を書く。「イエス・キリストの
できれば,木炭か木の燃えかすを生徒に示す。これが火から取り出されたばかりだったらどのような状態か,生徒に尋ねる。
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燃え盛る炭に触ったら,どうなるでしょうか。
2ニーファイ16:6-7を読む。その部分を目で追いながら,イザヤが燃え盛る炭でどのような経験をしたか見つけるように言う。(2ニーファイ16:6の脚注①と2ニーファイ16:7の脚注①を調べるように言う。)
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2ニーファイ16:7の記述から,天使が燃え盛る炭でイザヤの唇に触れたのは,何を象徴していたのでしょうか。(燃え盛る炭とは清めを象徴していることを説明するとよい。イザヤの示現の中で,天使が炭でイザヤの唇に触れたことは,イザヤがふさわしくない状態から清められ,罪が
赦 されたことを象徴していた。)
生徒に少し時間を与えて,イエス・キリストの贖罪の清めの力を感じたときのことについて考えてもらう。
生徒に2ニーファイ16:8-13を黙読するように言う。一人の生徒に,イザヤが民の中で果たした務めについて,主が言われたことを要約してもらう。(反抗的なイスラエルの民はイザヤの教えを無視するだろうが,「地もすっかり荒れ果てるときまで」説き続ける必要があると主がイザヤに勧告されたことを生徒に説明するとよい。つまり,「時が続くかぎり,大地が存在するかぎり,地の面に救われる人が一人でもいるかぎり」(モロナイ7:36)主は寛容な心で,その
イザヤが,主イエス・キリストと福音についての力強い証人になったことを説明する。救い主が現実に存在され,罪を赦す力をお持ちであることを証する。生活の中で贖罪の力を経験すれば,わたしたちも救い主の証人になれることを証する。