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ジェロム


はじめに ジェロム書

なぜこの書を研究するのか

ジェロム書を研究する中で,神は御自分の戒めに従う人々を祝福するという約束を守ってくださるということを生徒は理解するであろう。生徒はまた,ジェロムの時代のニーファイ人の王,預言者,教師,祭司たちが、民が滅びを免れるように彼らを悔い改めに導くために働いたことについても学ぶ。

だれがこの書を書いたのか

この書を書いたのはエノスの息子ジェロムである。ジェロムは父親と同様,また祖父ヤコブならびにそうリーハイと同様,預言と啓示の霊を受けた(ジェロム1:2参照)。ジェロムは記録を終えると,その版を息子オムナイに渡した。

だれに向けて,なぜ書かれたか

ジェロムは,「系図を書き継ぐようにという父エノスの命令に従って」書いたと述べている(ジェロム1:1)。また,「はらからであるレーマン人に益を与える」ために書いたとも述べている(ジェロム1:2エノス1:13-18も参照)。ジェロムは,先祖が記録したもので十分に「救いの計画〔が〕明らかに〔されている〕」と思い,彼自身の預言と啓示は記録しなかった(ジェロム1:2)。代わりに,彼の時代のニーファイ人の指導者たちの働きについて述べている。これらの指導者は「主を信じる信仰のあつい人々」であり(ジェロム1:7),悔い改めて戒めに従うように民に勧めることを続けた(ジェロム1:3-5,10-12参照)。ジェロムは,義にかなった指導者の勧告に従う民は栄えて,レーマン人の攻撃を防ぐことができると述べている。そして,こうあかししている。「主がわたしたちの先祖に言われた,『あなたがたはわたしの命令を守るかぎり地に栄える』という主の言葉が実証されたのである。」(ジェロム1:91ニーファイ2:19-20も参照)

いつ,どこで書かれたか

ジェロム書は紀元前約420年から361年までのおよそ59年間の記録である(エノス1:25ジェロム1:13参照)。この記録はニーファイの地で書かれた。

この書の特徴は何か

ジェロム書はモルモン書の中で最も短い書である。この書では,ニーファイ人の文化が発展し,ニーファイ人が「非常に増えて,地の面に広が(った)」ことの詳細が述べられている(ジェロム1:8)。また,ニーファイ人は物質的にも豊かになり,木材や金属の加工,建物の建築,機械の製作,道具や武器の製造に秀でるようになった(ジェロム1:8参照)。

概要

ジェロム1:1-2 ジェロム,版を受け取り,それを書く目的を説明する。

ジェロム1:3-12 ジェロム,ニーファイ人が戒めを守るときに祝福され栄えるという主の約束が果たされたことを記録する。また,救い主がまだこの世で教導の業を行われていないにもかかわらず,民は「あたかも……すでに来ておられるかのように……メシヤを信じる」ことができ,救い主の力によって罪から救われると証する(ジェロム1:11)。

ジェロム1:13-15 ジェロム,ニーファイ人とレーマン人の間の戦争の話はニーファイの大版に記されていると述べる。息子オムナイに小版を渡す。