第3課
救いの計画
はじめに
十二使徒定員会のボイド・K・パッカー会長は,セミナリーの各年度の始めに救いの計画の概要を教えるように指示している。
「『幸福の計画』の概要を最初に説明し,また時折復習すれば,生徒にとって非常に価値あるものとなることでしょう。……
若い人々は『なぜ?』と思うでしょう。すなわち,『行うように』命じられている事柄と『行わないように』命じられている事柄があるのは,なぜだろうかと思うのです。たとえ概略であっても,幸福の計画を知れば,若い人々は『理由』を理解することができることでしょう。……
……少しだけ詳細な説明を加えて,計画の概要を教えてください。……その目的を教えましょう。そうすれば,彼らは『理由』が分かります。……
……『理由』を知らせようとするときに,〔次の〕パターンに従ってください。『〔神は〕まず人々に
パッカー会長の助言に応じて,このレッスンでは,聖典で教えられているままの救いの計画の概要を取り上げる。このレッスンではイエス・キリストの
教え方の提案
モルモン書に記されている救いの計画
わたしたちは,天の御父が人の救いのために用意された計画について前世で学んだと説明する(モーセ4:1-2;アブラハム3:22-28参照)。この計画によって,人は天の御父のようになり,永遠に御父のもとに住むことができる。
ホワイトボードに「救いの計画の中には,……が含まれる」と書く。
この文章を完成させて聖典学習帳かクラスノートに書くように生徒に言う。
書く時間を与えた後,救いの計画を次のように定義する。クラスが始まる前に,それをホワイトボードまたは画用紙などに書いておくとよい。
救いの計画とは,「人の不死不滅と永遠の命をもたらすために定められたイエス・キリストの完全な福音〔である〕。その中には,創造や堕落,贖罪,ならびに神から与えられたすべての律法と儀式と教義が含まれる。この計画によってすべての人が昇栄し,永遠に神とともに住むことができるようになった。」(『聖句ガイド』「贖いの計画」の項,scriptures.lds.org/jpn)
自分の書いた言葉がこの定義に多少なりとも合っていれば手を挙げるように言う。手を挙げた何人かに次の質問をする。
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あなたが書いた定義とこの定義に共通する言葉は何ですか。定義の中にその言葉を使ったのは,なぜですか。
生徒を二人一組に分ける。各組の一人にアルマ22:12-14を読んでもらい,もう一人に2ニーファイ2:25-28を読んでもらう。(聖句の箇所をホワイトボードに書くとよい。)聖句の中から,救いの計画に含まれる要素を見つけるように言う。読む時間を与えた後,見つけた事柄を互いに分かち合うように言う。
次の参照聖句をホワイトボードに書く。2ニーファイ9:6;2ニーファイ11:5;アルマ12:25;アルマ24:14;アルマ42:8;アルマ42:15。(クラスが始まる前に,これらの聖句を書いておくとよい。)
モルモン書の預言者たちが天の御父の計画を様々な呼び方で呼んでいることを説明する。全員に2ニーファイ9:6を開いてもらい,一人の生徒にその節を読んでもらう。
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この節では,神の計画のことを何と呼んでいますか。(「大いなる創造主の
憐 れみに満ちた計画」。ホワイトボード上の2ニーファイ9:6の横にこの言葉を書く。)
ホワイトボードに書かれているそのほかの聖句を黙読し,天の御父の計画を指す言葉を見つけるように言う。天の御父の計画を指す言葉を見つけたら,その参照聖句の横に書いてもらう。ホワイトボード上のリストは最終的に次のようになる。
(「救いの計画」「幸福の計画」「贖いの計画」などの言葉はモルモン書に何度も出てくるが,聖書には出てこないことを指摘すれば,生徒はモルモン書の教えに対して感謝を深めることができるだろう。)
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これらの呼び方は,天の御父の計画についてどのようなことを強調しているでしょうか。(生徒が次のことをよく理解できるように助ける。「天の御父の計画は,御父の子供たちに永遠の救いと幸福をもたらすために作られたものである。」)
神の助けがなければ神のもとに帰って永遠の救いを得ることはできないということを
「わたしたちの宗教の基本原則は,使徒と預言者たちがイエス・キリストについて立てた証です。すなわち主が亡くなり,葬られ,3日目に再びよみがえって,天に昇られたことです。わたしたちの宗教に関するほかのすべての事柄は,それに付随するものにすぎません。」(『歴代大管長の教え-ジョセフ・スミス』〔2007年〕49-50)
「付随するもの」とは,重要な何かにつながっている物や概念であると説明するとよい。例えば,枝は木に付随するものである。木は一本の枝がなくても生きていけるが,枝は木の根や幹なしに生きていくことはできない。十二使徒定員会のボイド・K・パッカー会長は,イエス・キリストの贖罪の教義を次のように教えている。それは「キリスト教の教義の根本です。皆さんは枝が繁った木のように福音に対する知識は豊富かもしれませんが,もし枝葉の部分しか知らず,しかも,それが根に関係のない,真理から離れたものであるならば,そこに命も実質も贖いもありません。」(「仲保者」『聖徒の道』1977年10月号,488)
天の御父の計画は人の救いに関係しているので,救いの計画とも呼ばれるということを説明する。イエス・キリストは,贖罪によって人の救いを可能にしてくださった御方であるため,救い主と呼ばれる。
ホワイトボードに,「人は……から救われる必要がある」と書く。
一人の生徒に2ニーファイ9:6-10を読んでもらい,別の生徒に3ニーファイ9:21-22を読んでもらう。残りの生徒には,聖句を目で追いながら,ホワイトボードの言葉の空所に入る言葉を見つけてもらう。その言葉を見つけたら,自分の聖典のその箇所に印を付けるよう勧める。
見つけた言葉を発表するように生徒たちに言い,彼らの答えをホワイトボードに書く。イエス・キリストの贖罪によって全人類が肉体の死から救われることを生徒が理解していることを確認する。また,贖罪によって人は自分の罪からも救われ得ることと,もしそうでなければ人は神とともに住むことができないということも明確にする。
預言者ヤコブの次の言葉を読む。「おお,神の慈しみの何と深いことか。」(2ニーファイ9:10)「おお,わたしたちの神の計画の何と偉大なことか。」(2ニーファイ9:13)
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2ニーファイ9:6-10のヤコブの言葉は,ヤコブが感嘆した理由を知るために,どのように役立つでしょうか。
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2ニーファイ9:7,9によれば,贖罪がなければどうなるでしょうか。(人の体は死んだら二度と起き上がることがなく,人の霊は悪魔に従うようになる。)
レッスンの始めに紹介した救いの計画の定義の最後の文章を参照する。「この計画によってすべての人が昇栄し,永遠に神とともに住むことができるようになった。」
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その計画によって昇栄は「可能」になったが,「確定」してはいないということを理解することは,なぜ大切でしょうか。(生徒がこの質問に答えるとき,人には選択の自由-自分で選んで行動する能力-があることを理解させる。昇栄は,神が人に授けようとしておられる祝福に人がどう応じるかにかかっている。)
次の参照聖句をホワイトボードに書く。2ニーファイ2:25-28;2ニーファイ31:17-20;アルマ34:15-16。生徒に,これらの聖句を黙読して,「神が救いの計画を通して人に授けようとしておられるすべてのものを受けるために人が行わなければならない事柄」を聖典学習帳に書き出すように言う。
この割り当てを果たす時間を十分に与えた後で,答えを分かち合ってもらう。生徒の答えを聞きながら,先ほど紹介した定義の一部である「神から与えられたすべての律法と儀式と教義に対する従順」の例を指摘する。(これらの節には,悔い改めを生じる信仰を働かせること,バプテスマを受けること,聖霊を受けることが含まれている。)生徒が答えを分かち合った後,次の質問をしてもよい。
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わたしたちの行為は,贖罪の祝福を受けるわたしたちの能力にどう影響するでしょうか。(生徒の答えを聞きながら,次のことを証する機会を見つける。「わたしたちはイエス・キリストの福音に従って生活し,神の計画に従うときに,救い主の贖罪によって永遠の命を得る備えができる。」)
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救いの計画を理解することは,戒めを守るうえでどのように助けとなるでしょうか。
一人の生徒に,3ニーファイ2:25を読んでもらう。
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あなたは救いの計画に従うことによって,これまでどのような喜びを得てきましたか。
レッスンの最後に,モルモン書の研究を進めていくうちに,救いの計画についての教義をたくさん学べることを説明する(このレッスンでは救いの計画の概要を学んだにすぎない)。救いの計画の中で神がしてくださったすべてのことに注意を払いながら,また神が計画してくださった完全な祝福を受けるために行うべきすべてのことに注意を払いながら,研究を続けるように生徒を励ます。このレッスンで話し合った真理について証を述べる。