はじめに モルモン書
なぜこの書を研究するのか
生徒はこの書を研究するとき,生涯にわたり「いつも悪事と忌まわしい行い」(モルモン2:18)に取り囲まれながらも忠実に生きたイエス・キリストの弟子の一人,モルモンから,貴重な教えを受けるだろう。生徒はまた,モロナイの言葉を研究することによっても恵みを受けるだろう。モロナイは末日の読者に次のように
だれがこの書を書いたのか
モルモンは,当時のニーファイ人とレーマン人の間に見られた悪事と戦争に関する短い記録として,この書の最初の7章を書いた。また,彼は自分の生涯に起こったすべての出来事をニーファイの大版に書いた(モルモン2:18;5:9参照)。モルモンが10歳のころ,記録保管者であるアマロンがモルモンに,成人したら神聖な記録に関して責任を負うようにと指示を与えた。モルモンはこの民について自分が見てきたことをすべて記録しなければならなかった(モルモン1:4参照)。15歳になり,モルモンは「主の訪れを受け,イエスの慈しみを味わって知った。」(モルモン1:15)その同じ年に,ニーファイ人はモルモンを自分たちの軍隊の指揮官に任命した(モルモン2:1参照)。アマロンの勧告に従い,モルモンは後にニーファイの大版を手にし,自分の記録を書き始めた。また,リーハイからアマロンまでの預言者および記録保存者が書いたものが含まれているニーファイの大版を短くまとめ,この短くまとめたものにニーファイの小版を付け加えた。モルモンは生涯の終わりが近づいたとき,息子のモロナイに渡した幾つかの版を除くすべての記録をクモラの丘に隠した(モルモン6:6参照)。その後,モルモンはレーマン人との最後の激しい戦闘でニーファイ人の指揮を執った。モルモンは死ぬ前に,それまでに自分が書いてきた記録を書き上げるようにモロナイに指示した。モロナイはこの書の8章および9章となる言葉を付け加えた。
だれに向けて,なぜ書かれたか
モルモンは終わりの時の異邦人やイスラエルの家に属する人々を念頭に置き,「地の果てに至るすべての人に,悔い改めてキリストの裁きの座に立つ備えをするように説き勧める」ことができればと願いながらこの記録を書いた(モルモン3:22)。モロナイは父の書を締めくくるに当たり,自分の言葉を将来読む人々に直接語りかけた。モロナイは彼らの犯す罪の報いについて警告し,「心を尽くして主のもとに来〔る〕」ように勧めた(モルモン9:27)。
いつ,どこで書かれたか
モルモンはこの書の1章から7章までを紀元345年から紀元401年の間に書いたようである(モルモン2:15-17;8:5-6参照)。紀元385年,ニーファイ人とレーマン人の間で起こったクモラでの最後の戦闘の後に,モルモンは自分の記録を書き終わった(モルモン6:10-15;7:1参照)。モロナイは恐らく紀元401年から紀元421年の間,彼が「命の安全を得られる場所を求めて」さまよっていたときに,8章から9章の資料を書いた(モルモン8:4-6;モロナイ1:1-3参照)。
この書の特徴は何か
この書はニーファイ人の滅亡に関するニーファイ,アルマ,レーマン人サムエル,イエス・キリストの預言の成就について述べている(1ニーファイ12:19;アルマ45:9-14;ヒラマン13:8-10;3ニーファイ27:32参照)。モルモンは自分が書いたものの幾つかを「ニーファイ人の滅亡についてのわたしの記録」と呼んでいる(モルモン6:1)。ニーファイ人の滅亡は彼らが悪事を行った報いであるということをモルモンは示した(モルモン4:12;6:15-18)。
概要
モルモン1章 アマロンはモルモンに同時代の民について記録するよう命じた。ニーファイ人は戦闘でレーマン人を打ち負かす。悪事が地の全面に広がり,ニーファイ人の三人の弟子は民の間で教え導くことをやめ,
モルモン2-3章 ニーファイ人はモルモンを彼らの軍隊の指揮官に任命する。モルモンは30年以上にわたり,レーマン人との戦闘でニーファイの軍を率いる。大きな破壊と苦しみを経験したにもかかわらず,ニーファイ人は悔い改めることを拒む。モルモンは,ニーファイの版をシムと呼ばれる丘から取り出し,記録をつけ始める。民は何度か勝利した後,自分たちの力を誇り始め,レーマン人に対する報復を誓う。モルモンはこれ以上民を率いることを断る。モルモンは,終わりの時代のすべての人々に,キリストの裁きの座に立つ備えをするよう説き勧めるために書く。
モルモン4章 モルモンが指揮官を辞退した後も,ニーファイ人の軍隊はレーマン人と戦い続ける。両軍とも,非常に大勢の者が戦死した。リーハイの子孫は彼らの歴史を通じて最も邪悪になり,レーマン人の攻撃によってニーファ人は全滅し始める。モルモンはニーファイ人の記録をすべて保管し,さらにはシムという丘からクモラという丘に移す。
モルモン5-7章 モルモンは,ニーファイ人が滅ぼされることを知りながらも,再びニーファイ軍の指揮を執る。モルモンはモルモン書の出現を預言する。彼はレーマン人との最後の戦闘に備え,ニーファイ人をクモラに集める。戦闘の後で,自分の民の滅亡を嘆き悲しむ。モルモンは,レーマン人の子孫に,イエス・キリストを信じてバプテスマを受けるよう説き勧めるために書く。
モルモン8-9章 モルモンの死後,モロナイが記録を書き継ぐ。モロナイは,モルモン書が神の力によって不信仰で邪悪な時代に出現することを預言する。彼はイエス・キリストについて証し,イエス・キリストを信じる信仰には奇跡としるしが伴うことを教える。モロナイは彼の言葉を読む人に,主のもとに来て,救われるよう熱心に勧める。