第23課
互いに赦し合う
目的
人を
準備
レッスン
子供に開会の祈りをさせる。
宿題を出していれば,その確認をする。
イエス・キリストに従う
注意を引くための活動
これからすることを全部まねしてほしいと子供たちに言う。立ったり,背伸びをしたり,笑ったり,腕を組んだりして,まねをさせる。
教師のしたことを全部したということは,教師に従ったことになることを説明する。だれかに従うということは,その人と同じことをすることである。
これから,イエスに従うとても大切な方法を学ぶことを述べる。
イエスはわたしたちを愛し,赦してくださる
物語の復習
子供たちに息子アルマの改宗の話を復習させる。切り抜き絵を使うとよい。
次の点を明確にする。
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初め,息子アルマは,イエスが救い主であることを信じなかった。そればかりでなく人々を誘惑して数多くの悪い行いをさせた。彼は,イエスの教えと教会は真実ではないと教えた。
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父アルマと教会の会員たちはどう感じたでしょうか。
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息子アルマは悪い人で,悪い行いをたくさんしたにもかかわらず,イエスは彼を愛しておられた。
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イエスは息子アルマにどのように愛を示されたでしょうか。(悔い改めるように命じられた。モーサヤ27:11-16参照。またすべての罪を
贖 うことにより愛を示された。これによってアルマは悔い改めて罪の赦しを受けられるようになった) -
アルマの父と教会の人々は,どのようにアルマに愛を示したでしょうか。(アルマが快復するように,祈って断食した。モーサヤ27:21-24参照)
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息子アルマは,自分の行いが悪かったと感じ,悔い改めた。
息子アルマを愛して赦されたように,イエス・キリストはわたしたちが犯した過ちを悔い改めるときにわたしたちを愛し,赦してくださることを説明する。
わたしたちは人を赦すべきである
話し合い
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だれかがあなたを押し倒したり,けがをさせたりしたら,あなたはどう感じますか。
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だれかがあなたをばかにしたり,からかったりしたら,あなたはどう感じますか。
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友達から仲間外れにされたとしたら,あなたはどう感じますか。
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だれかがあなたの物を壊してしまったら,あなたはどう感じますか。
各々の質問に答えさせ,だれかに不親切にされたり,傷つけられたりすると,わたしたちは普通腹を立てることを説明する。
切り抜き絵の怒った顔を見せる。(年長の子供の場合は言葉の書いてある方の面を使ってもよい)
腹を立てたときはどのような気持ちがするか話し合う。だれかに対して腹を立てているときは嫌な気持ちがすることを強調する。
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腹立たしい気持ちになるとわたしたちはどんな行いをしたくなりますか。(怒ると天父やイエス・キリストが望んでおられることをしたくなくなる点を強調する)
わたしたちは,イエスがわたしたちを赦してくださるように,人を赦さなければならないことを説明する。人に傷つけられたとき,その人を赦すのは簡単なことではない。しかし,主は御自身の模範に従うように望んでおられる。
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赦すとはどういうことですか。(救い主にとって赦しとは,わたしたちが悔い改めると,犯した罪に伴う罰を帳消しにしてくださるということである。また,義にかなった生活をするように助けてくださる。わたしたちにとって赦しとは,その人を愛し,その人がどんなことをわたしたちに対してしたとしても,それに対して悪い気持ちを抱かないということである)
子供たちに朱色の布または紙を見せる。そして,イザヤ1:18から次の部分を読む。「たといあなたがたの罪は
緋 のようであっても,雪のように白くなるのだ。」 -
この節はどういう意味だと思いますか。(白という色が清いことを意味するのに使われることを話す)
朱色の布または紙を白いものに替える。朱色のものを純潔を示す白いものに替えたように,救い主は悔い改める人を清めることがおできになる。
年長の子供に教義と聖約64:9から次の部分を読ませる。教師が読んでもよい。「それゆえ,わたしはあなたがたに言う。あなたがたは互いに赦し合うべきである。」
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だれかがあなたを傷つけたり不親切なことをしたりしたとき,イエス・キリストの赦しの教えに従うにはどうしたらよいでしょうか。(その人を赦して愛する)
わたしたちは人を愛して赦すために次のことをしなければならないと説明する。
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怒りの気持ちや人に仕返しをしてやりたいという気持ちをなくす。
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不親切を忘れる。
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人々に親切にし,愛を示す。
人をほんとうに赦したときには,その人の悪い行いを忘れ,怒りの気持ちを親切な愛ある気持ちに変えようとすることを指摘する。人を赦すということは,赦した後で大きな愛を示すことを含んでいる。
怒った顔をほほえんだ顔で覆う。言葉の書いてある面を使ってもよい。
物語と話し合い
治君という少年の話をする。自分が治君の立場だったらどう感じ,どう振る舞うか考えるように言う。
治君はほかの少年たちのように背が高くありませんでした。学校には背が低いといって,治君をからかう子もいました。特に清君という背の高い少年はいつもからかったりいじめたりしてきました。
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治君はどのような気持ちがしたと思いますか。(嫌な気持ち,怒りの気持ち)
ある日治君は珍しい石を探しに丘を登って行きました。学校の宿題で岩石を採集することになっていたのです。治君は家にきれいな石を幾つか持っていましたが,もっと探したいと思ったのです。
そのとき,どこかで聞いたことのある声がしました。清君でした。清君も石を探していたのです。清君は治君に,自分の方が先に来たのだからあっちに行けと言いました。そして,丘を下りろと言って,追いかけて来ました。しばらくして,丘の上の方で大きな叫び声がしました。走って戻ってみると清君がひどく痛がっていました。足をくじいたらしいのです。
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治君は清君があっちへ行けと言って追いかけて来たとき,どんな気持ちがしたと思いますか。
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治君は清君が足をくじいたのを見てどんな気持ちがしたと思いますか。
話の続きを聞いて,治君が何をしたか理解させる。
治君は清君を助けようとしましたが,力が足りませんでした。治君は清君を慰めて,助けを呼びに走って行きました。
治君はお父さんを連れて来て,二人で清君を丘から下ろし,自分たちの家へ運びました。治君のお母さんは清君の足に包帯を巻きました。治君は自分の石を清君に分けてあげました。清君は倒れたときに石をなくしてしまったからです。
清君は今まで治君にしたことを赦してほしいと謝りました。治君はにっこり笑いました。二人は親友になりました。
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治君は赦すという戒めにどのように従いましたか。(自分にいじわるをした人を赦して親切にした)
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治君は赦したことをどのように表しましたか。(清君を助けようとした。お父さんを連れて来て清君を助けた。清君の友達になった)
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治君にとって,清君の行いを赦し,清君を助けることは簡単なことだったと思いますか。
治君にとって,それまで清君が自分にしてきたことを忘れるのはとても難しいことだったかもしれないが,治君はイエス・キリストの戒めに従って赦したことを指摘する。
ロールプレー
子供たちに次の場面を演じさせる。全員が参加できるようにする。それぞれの場面で感じる気持ちを表現させる。また,赦しの戒めに従うにはどうしなければならないかを説明させる。怒りの気持ちを愛と親切な気持ちに変え,意地悪をしようという気持ちをなくして親切に振る舞わせる。それぞれの場面の後に書いてある質問を参考にするとよい。
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田中君と池田君がサッカーをしていました。中川君が走って来て田中君をつき倒し,ひざにけがをさせてしまいました。しばらくたってから中川君が田中君の家に来て,一緒にサッカーをしないかと聞きました。
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田中君は中川君につき倒されたときどのように感じたでしょうか。
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田中君は中川君がサッカーをしようと誘いに来たとき,どのようにして赦しを中川君に表すべきでしょうか。(たとえ赦しを請わなくても,また自分のしたことを悪いと感じていなくても,みんなを赦さなければならないことを強調する)
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信彦君と正子さんは将棋をしていました。正子さんが勝ちました。信彦君は怒って将棋板をテーブルから床に落としてしまいました。次の日,信彦君は正子さんにもう一度将棋をやろうと言いました。
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正子さんは信彦君が将棋板を落としたとき,どう感じたと思いますか。
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正子さんは信彦君がもう一度将棋をやろうと言ってきたとき,どうすべきでしょうか。(謝ってくれなくても,どんな人でも赦さなければならないことを強調する)
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美恵ちゃんは学校の帰りにいとこの英二君の家に寄りました。美恵ちゃんは母の日のプレゼントを持っていました。英二君が急に出て来てプレゼントをつかみました。そして,それを落としてしまったので,壊れてしまいました。その日の夕方,英二君が来て美恵ちゃんにごめんなさいと言いました。
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美恵ちゃんはどのように感じたでしょうか。
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美恵ちゃんは英二君が来たときにどうするべきでしょうか。
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まとめ
教師の提示
だれかに従うということは,その人と同じことをすることであると再び述べて締めくくる。わたしたちがイエスに従おうとするならば,わたしたちは人を赦すという主の戒めに従わなければならない。あなたが人を赦してよい気持ちを味わった経験を子供たちに話してもよい(子供たちが知っている実名は使わない)。赦すために何をしなければならないかを子供たちにもう一度考えさせる。
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怒りの気持ちや人に仕返しをしてやりたいという気持ちをなくす。
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不親切を忘れる。
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人々に親切にし,愛を示す。
これから1週間,人を赦すことをいつも覚えておくように話す。そして,次回のレッスンで人を赦したときの気持ちを話させるので準備をするようにと言う。
子供に閉会の祈りをさせる。
楽しい活動
次の活動の中からクラスの子供たちに最も適したものを選ぶ。選んだ活動はレッスンの一部として用いてもよいし,復習やまとめとして用いてもよい。詳しくは「教師へ」の「クラスの時間」の項を参照する。
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年齢の低い子供たちに長い単語(いりおもてやまねこ)などを言わせる。長い言葉の中にはなかなかうまく言えないものがあるが,「ゆるしてあげる」という言葉もなかなか言えないことがある。でも,「ゆるしてあげる」という言葉が悲しい気持ちを明るくしてくれることを説明する。
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「人をゆるせるように」(『子供の歌集』99)を歌うか,歌詞を朗読する。歌詞は本書の巻末に掲載されている。
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子供たちと次の指遊びをする。(靴下を手にかぶせて小さな目を描き,指人形にしてもよい)
二人の友だちが右と左にいて(両手をこぶしを握って挙げる)
あらそいをしていましたが,けんかになりました。(こぶしをぶつけ合う)
その日は二人とも楽しくありませんでした。
なかよくあそぶことを教わっていたからです。
すると一人がはずかしくなってうなだれました。(右手を下げて後ろを向く)
もう一人も同じことをしました。同じようにかんじたからです。(左手を下げて後ろを向く)
さいしょの人が言いました。「いいことがある。」(手をたたく)
「ぼくがわるかったんだ。ごめんなさい。ゆるして。」
もう一人も言いました。「ぼくの方こそ本当にごめん。」
「これからなかよくして,楽しくあそぼう。」(腕を組んで座る)
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紙に鉛筆で薄く点を幾つか付ける。黒板にチョークで書いてもよい。これは間違った行いや選択を表す。次にその点を見えなくなるまで完全に消す。わたしたちが悔い改めれば,イエス・キリストはまるで消しゴムや黒板ふきで点を消すようにわたしたちの罪を消してくださる。(クラスの前に練習しておくとよい)