初等協会テキストと分かち合いの時間
第39課:両親に愛を示す


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両親に愛を示す

目的

従順になり,よく助けることによって両親に愛を示すように助ける。

準備

  1. 出エジプト20:12モルモン8:1を祈りをもって研究する。

  2. 「幸せな家族」(『子供の歌集』104)を歌う準備をする。楽譜は巻末に掲載されている。

  3. 両親がそろっていなかったり,特殊な状況にある子供がいるときは,扱いに十分配慮する。

  4. 教材

    1. モルモン書

    2. 小さなお手玉またはボール

    3. 家族の木の複写を人数分(課末の例を参照)

    4. 絵3-34「記録を短くまとめるモルモン」(『福音の視覚資料セット』306);3-35「クモラの丘に金版を隠すモロナイ」(『福音の視覚資料セット』320);3-5「子供たちを教えるアダムとエバ」

  5. レッスンで用いる「楽しい活動」の準備をする。

レッスン

子供に開会の祈りをさせる。

宿題を出していれば,その確認をする。

天父は両親にわたしたちを育てる責任をお与えになった

注意を引くための活動

絵3-5「子供を教えるアダムとエバ」を見せる。

  • これはだれの絵でしょうか。(アダム,エバ,その子供たち)

  • 天父はアダムとエバが子供たちに何を教えることを望まれたでしょうか。(福音。これは最近クラスで話し合った。第35課参照)

天父は,子供たちがいつの日か天父のみもとに戻るまで,子供たちを愛しその世話をする責任を両親にお与えになった。天父はわたしたちすべてが次の世で天父とともに生活する資格を得る方法を学ぶことを望んでおられる。天父が両親に期待しておられるのは,子供たちに戒めを教え,子供たちの必要を満たすことである。これが両親に与えられた大きな責任である。

子供たち一人一人に家族の木の複写を渡す。木の幹の部分に両親の名前を書かせる。顔を描かせてもよい。そして枝の部分に自分と兄弟姉妹の名前か顔を書く。

話し合い

  • 天父はなぜわたしたちに両親をお与えになりましたか。(わたしたちを愛し,育て,戒めを教えるため)

天父は子供たちが両親に対して愛を示すことができることを知っておられる。天父はわたしたちにそれを命じられた(出エジプト20:12参照)。

両親に愛を示す方法はたくさんある。

よく助けることにより両親に愛を示す

物語

よく助けることが両親に愛を示す一つの方法であることを説明する。次の物語を教師自身の言葉で話す。

恵美さんはお母さんが具合が悪いことに気づきました。疲れた顔をしていて,時々座り込んでしまいます。弟の芳夫君や君人君を呼ぶときの声にもいつもの力がありません。恵美さんはお母さんがこれまで自分にしてくれたことをいろいろ思い出し,お母さんが元気になれるように何でもしたいと思いました。

  • 恵美さんはお母さんを助けるために何ができるでしょうか。

恵美さんは弟たちと一緒に遊びました。静かに機嫌よく遊べるように手伝ってあげました。それから,お母さんが横になって休めるように,弟たちを寝かしつけてあげました。そして,後でおもちゃを片付けてあげました。

お母さんが夕食の準備を終えると,恵美さんは弟たちに手を洗わせ,お祈りができるようにしました。お母さんはにっこりして,恵美さんを抱き締めてくれました。

今日きょうはほんとうによく手伝ってくれたわね。ありがとう。」お母さんは恵美さんの耳もとでそうささやきました。

話し合い

  • 恵美さんはお母さんとどのように愛を示しましたか。

  • お手伝いをした後で恵美さんはどう感じたでしょう。

  • お母さんはどう感じたと思いますか。

活動

一人一人にお手玉を投げて次の質問をする。答えたらお手玉を返すように言う。全員両方の質問に答えられるようにする。

  • あなたのお父さんとお母さんはどのようなことをして愛を示してくれますか。

  • あなたはお父さんとお母さんにどのようなことをして愛を示しますか。

従順になることによって両親に愛を示す

話し合い

従順は両親に愛を示すもう一つの大切な方法であることを説明する。

物語

アナンドと彼の父親の物語を教師自身の言葉で話す。

ついにアナンドはやぎの係になりました。とうとう山で草をはむやぎのそばについていられる年になったのです。アナンドは8歳。やぎの群れの世話をする責任を首を長くして待っていました。

アナンドは,毎朝村のやぎを小道を伝って山の上の方の草原へ連れていくときに,どうしたら犬のヌーミーと一緒にやぎの群れを集めることができるだろうと考えました。夕方には,お父さんが登って来て,アナンドとヌーミーを助けてやぎを家まで追って行ってくれるのです。

お父さんはこう言いました。「決して道を離れてはいけないよ,アナンド。やぎが離れたら,呼びかけるんだ。決して道を離れてはいけない。山は険しいし,とても危険だ。お父さんの言ったとおりにするんだよ。決して道を離れてはいけないよ。」

日ごとにアナンドは新しい責任をたやすく果たせるようになり,山で過ごす時間が大好きになりました。

ある日の午後,アナンドは,お父さんが助けに来るのが遅いことに気がつきました。アナンドは,やぎを集めて,お父さんに会うために道を降りて行こうと思いました。ヌーミーの助けを借りて,すぐにやぎを輪の中に集めました。ところが,3匹いないのです。アナンドは困ってしまいました。年取ったシューマとシューマの2匹の子やぎがいなくなったのです。どうしたらよいのでしょう。アナンドは,シューマはたぶん前に何回も連れて行ったことのある,道の上の方に登って行ったのだろうと思いました。アナンドはやぎを追いかけなければなりません。

ほかのやぎはヌーミーに任せて,アナンドは道の上の方へと登って行きました。やがてアナンドは,シューマと子やぎたちが道からずっと離れた草むらにいるのを見つけました。そこはたくさんの茂みや岩があって,シューマと自分の間に何があるのか分かりません。アナンドは,道を離れてはいけないのを知っていたので,呼んでみました。けれどもシューマは,もっと遠くに行ってしまいました。

だんだん暗くなってきて,アナンドには3匹のやぎが全然見えなくなりました。アナンドはどうにかしなくてはならないと思い,やぎを追いかけて行くことにしました。きっと追いついて道に連れ戻すことができるはずです。

アナンドは道を離れようとしたとき,お父さんが「アナンド,決して道を離れてはいけないよ」と言っていたことを思い出しました。

アナンドは,お父さんに従わなければならないことを知っていたので,座って,もう一度シューマを呼びました。すると突然,草の中で動く音がしました。見るとシューマと2匹の子やぎでした。やっと帰って来たのです。

アナンドがやぎを連れて道を下って行くと,お父さんがやって来るのに出会いました。ヌーミーを先頭にして,二人は一緒にやぎを家まで連れ帰りました。

次の日,アナンドはお父さんを連れて,シューマを待っていた所に行きました。お父さんはアナンドをやぶのそばに連れて行って,絶壁を見せました。もしシューマを追いかけて行っていたら,アナンドは絶壁から落ちてしまっていたことでしょう。アナンドは心の中で,お父さんを敬い,従って良かったと感謝しました。

話し合い

  • アナンドはお父さんをどう思っていたと思いますか。(愛していた)

  • アナンドはどのようにしてお父さんに愛を示しましたか。(道を離れず,お父さんの言うことに従った)

  • お父さんに従ったことでアナンドはどのように助けられましたか。(道から離れなかったので危険に遭わなかった)

時々わたしたちは,両親がなぜそんなことを言うのか分からない時がある。両親はわたしたちを愛し,わたしたちにとっていちばん良いことを望んでいる。だからわたしたちは両親に従い,言われたとおりにするべきである。わたしたちは両親に従うとき,彼らに対して愛を示しているのである。

「幸せな家族」を歌うか,または歌詞を朗読する。

モロナイは父モルモンに愛を示した

聖文の物語と絵

モルモン書の中には,両親を助け,従順になることによって愛を示した人についての話が幾つかある。その一つが預言者モロナイの話である。

絵3-35「クモラの丘に金版を隠すモロナイ」を見せる。この絵について知っていることを尋ねる。モロナイは金版を埋め,後に天使としてジョセフ・スミスに現れ,金版のありかを教えたことを理解させる。モロナイの父は預言者モルモンである。モロナイの絵の隣に絵3-34「記録を短くまとめるモルモン」を飾る。

モルモンは天父に選ばれて歴史を編さんし,金版に記録したことを説明する。彼は常に命じられたことを行うことによって,主への愛を表した。彼は息子のモロナイにも同じようにするように教えた。モロナイを愛していたモルモンは,モロナイに幸せになってほしいと思った。そして,天父を知り,天父を愛することがモロナイが幸せになる道であると理解していた。

モロナイが大人になってからも,モルモンはモロナイに引き続き主を愛するように教えた。モロナイは父を愛し,父の模範に従いたいと思った。

モロナイは父をとても愛していたので,父の教えに従った。彼は世の人々が皆,父モルモンの教えを知ることができるように,それを書き留めた。モルモンは金版を書き終える前に死んだので,モロナイが記録を引き継ぎ,書き終えた。

聖句と話し合い

モルモン8:1を読む。

  • モロナイはなぜお父さんのモルモンに従ったのですか。(お父さんを愛していたから)

  • モロナイはどのようにしてお父さんに愛を示しましたか。(従順になり,よく助けることによって)

まとめ

話し合い

  • なぜ天のお父様は私たちに両親を与えてくださったのですか。(わたしたちを愛し,戒めを教え,世話をするため)

  • わたしたちはどのようにして両親に愛を示すことができますか。(従順になり,よく助けることによって)

  • アナンドと恵美さん,モロナイの話はどんなところが似ていますか。(従順になり,よく助けることによって両親に愛を示したところ)

教師のあかし

両親の大切さと両親に従うことによって得られる祝福について証を述べる。今週1週間両親に対して愛を示す方法を一つ選ばせる。

子供に閉会の祈りをさせる。

楽しい活動

次の活動の中からクラスの子供たちに最も適したものを選ぶ。選んだ活動はレッスンの一部として用いてもよいし,復習やまとめとして用いてもよい。詳しくは「教師へ」の「クラスの時間」の項を参照する。

  1. クラスで「家族は永遠に」(『子供の歌集』98)を歌う。歌詞は巻末に掲載されている。

  2. 両親に愛を示す方法を絵に描かせる。

  3. 「先生,わたしは」のゲームをする。全員教室の端に教師と向かい合って横一列に並ばせる。まずあなたの方でこう言う。「(子供の名前を呼ぶ),食事の後片づけをしてお母さんのお手伝いをしてね。」すると子供は,「先生,わたしは食事の後片づけをしてお母さんを助けていいですか。(あるいはそれに類する言葉)」と言わなければならない。こう言えたら「大きく一歩前進」と言う。この質問を言わないで前進したら一歩下がらなければならない。こうして最初にあなたに触った子の勝ちである。