第21第
「あなたがおいでになる時……には,どのようなしるしがありますか」
目的
生徒に救い主の再臨に先立つしるしを理解させ,この偉大な出来事に備えさせる。
準備
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以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。
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ジョセフ・スミス-マタイ1:1ー20(マタイ24:1-5,9-13,15-22)。イエスは間近に迫ったエルサレムの滅亡を予告される。
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ジョセフ・スミス-マタイ1:21-55(マタイ24:6-8,14,23-51)。イエスは再臨に先立つしるしを説明し,主の選民がその来臨に備えるための方法を教えられる。
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そのほかの読書課題:マルコ13;ルカ21:5-38;教義と聖約45:15-55。
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「再臨」(『福音の視覚資料セット』238)を入手できれば,レッスンで使用する。
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教えるための提案:教師の召しを受けたあなたは,福音のすべてを知っていることを求められているわけではない。したがって,あなたが答えられないことを生徒から質問されても当惑する必要はない。答えを取り繕うのでなく,知らないことを認め,答えを見つけるために努力することを生徒に告げる。
レッスンの展開
導入
適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。
生徒たちに窓から空を見上げさせる。教室に窓がなければ,彼らが教会に着いたときの天候を尋ねる。そして,実現しそうもない天候になることを予告する。例えば,晴天で屋外の気温が高いときに,数時間後に雪が降ることを予告する。寒くて雨が降っており,しばらく雨が降り続きそうな場合に,5分後には暑くなり,湿度も下がることを予告する。
あなたの予告を聞いてどのように思ったかを生徒に尋ねる。生徒の意見を聞いたら,以下の質問をする。
導入
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これから数時間の天候はどうなると思いますか。何に基づいてそのような予告をしましたか。
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今後の天気に関するしるしはわたしたちの行動にどのような影響を与えるでしょうか。(しるしに基づいて準備をするなどの答えが考えられる。例えば,天気が良ければ屋外活動を計画するかもしれない。あるいは激しい嵐になるのであれば特別な準備をする。)
天候を予告することは,わたしたちが毎日の生活で経験している事柄であるが,これはしるしを頼りに判断を下し,やがて起こる状態に備えるという行為であることを指摘する。しるしに注意していれば,準備不足のままでその事態を迎える確率は低くなる。同じように,わたしたちはイエス・キリストの再臨のしるしに注意することによって,その偉大な出来事のために自らを備えることができる。本課では,イエスが御自身の再臨に先立って起こると預言されたしるしについて話し合う。(予告は何かが起こるかもしれないと表現するが,預言は何かが起こるであろうと表現することを指摘するとよい。天候の予告は外れることがあるが,再臨に関する預言は成就する。)
聖句を使った話し合いと応用
以下の聖句について教えるに当たって,主はわたしたちが主の再臨に備えることができるようにその情報を明らかにしておられることを生徒に理解させる。末日には様々な苦難が訪れるが,わたしたちは喜びをもってこの偉大な出来事を待ち望むことができる。
マタイ24にはエルサレムの滅亡と主の再臨に関する救い主の預言が記されていることを説明する。長い年月の間にこの章の各節は変更を加えられ,順序を変えられたために,時には特定の節がどの出来事について述べているのかが理解しにくくなっている。幸いにも,ジョセフ・スミスが霊感によって『聖書』を翻訳した中で,これら二つの預言が明確にされ,失われた情報が回復されている。ジョセフ・スミスが霊感を受けて翻訳したマタイ24は,『高価な真珠』の「ジョセフ・スミス-マタイ」に収められている。
本課で採り上げる教義と原則を話し合うに当たっては,ジョセフ・スミスーマタイを使用する。レッスン中,主の再臨の絵を展示しておく。
1.イエスは間近に迫ったエルサレムの滅亡を予告される。
ジョセフ・スミス-マタイ1:1-20(マタイ24:1-5,9-13,15-22も参照)について話し合う。選んだ箇所を何人かの生徒に読んでもらう。
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イエスが十字架にかけられる数日前,数人の弟子たちはイエスとともにオリブ山へ行きました。弟子たちはイエスに二つの質問をしましたが,それは何でしょうか(ジョセフ・スミス-マタイ1:4参照。ジョセフ・スミス-マタイ1:5-20は,エルサレムの滅亡に関する弟子たちの最初の質問に対する救い主の答えであることを説明する。ジョセフ・スミス-マタイ1:21-55は,再臨に関する弟子たちの2番目の質問に対する救い主の答えであることを説明する)。
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イエスはエルサレムの神殿とエルサレムの市自体についてどのように預言されたでしょうか(ジョセフ・スミス-マタイ1:2-3,12参照)。救い主の預言によれば,エルサレムが滅亡する前にどのようなしるしが現れるでしょうか(ジョセフ・スミスーマタイ1:5-10参照)。
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滅亡を避けるために弟子たちは何をしなければならないとイエスは言われたでしょうか(ジョセフ・スミス-マタイ1:11-15参照)。彼らはいったん家を逃れ出たら家に戻ってはならないと言われましたが,これはなぜ大切なことだったでしょうか(ルカ9:62;教義と聖約133:14-15参照)。
多くのユダヤ人は彼らの偉大な都市と神殿が崩壊するなどということを信じなかったが,主の預言は紀元70年に成就したことを説明する。ユダヤ人は紀元66年にローマ人に対して反乱を起こした。メシヤが戦いのさなかに来て,自分たちを助けてくださると信じていたからだった。4年後にローマ人は全市を滅ぼした。救い主の言葉に耳を傾けて,山へ逃げた人々は生き延びた。この勧告に耳を傾けなかった人々は散らされて,滅ぼされた。
2.イエスは再臨に先立つしるしを説明される。また主の選民がその来臨に備えるための方法を教えられる。
ジョセフ・スミス-マタイ1:21-55(マタイ24:6-8,14,23-51も参照)から選んだ箇所を読んで,話し合う。弟子たちが尋ねた2番目の質問は救い主の再臨と,それに伴って起きる悪人の滅亡(時々「世の終り」と呼ばれる)に関するものであったことを生徒に思い起こさせる。再臨に先立つしるしと苦難について話し合う際に,それらを黒板に書き出す。
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ジョセフ・スミスーマタイ1:22には救い主の再臨のしるしとして,どのような事柄が挙げられているでしょうか。この預言が成就しつつある証拠として,あなたはどのような事柄を目にしているでしょうか。偽預言者にだまされないようにするにはどうすればよいでしょうか(マタイ7:15-20;教義と聖約45:57;46:7-8参照)。
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ジョセフ・スミス-マタイ1:23と28にはどのような再臨のしるしが挙げられているでしょうか。この預言が成就しつつある証拠として,あなたはどのような事柄を目にしているでしょうか。主はわたしたちに戦争と戦争のうわさに「あわてないように気をつけなさい」と教えておられます。そのような騒然としている中で,どうすれば平安を見いだせるでしょうか(1ヨハネ4:16-18;教義と聖約6:34-36;45:34-35;59:23参照)。
M・ラッセル・バラード長老は希望と励ましを込めた次のような勧告を与えている。
「これらのことが起こると預言されているにもかかわらず,世界各地で起こる災害,災難の頻度が増しているため,多くの人は非常な不安を感じています。……確かにわたしたちには,深く憂慮すべき理由が十分にあります。なぜなら人類という家族が直面している難問に対する答えはすぐには見当たらないからです。世の姿は暗たんとしており,最終的にはもっとひどいものになっていくでしょう。しかしわたしたちは決して希望を失ってはなりません。
……主がすべてを支配しておられるということです。主は何もかも御存じです。そこで,わたしたちがそれに従うならばどんな危機も切り抜けられる教えを,主は与えてくださいました。やがて主の目的は達成され,いつの日かわたしたちは,永遠の観点から見てこれらすベての出来事には意味があることを理解できるようになるでしょう。ですから今日わたしたちは不必要に心を騒がせたり,極端なまでの準備にとらわれないよう気をつけなければなりません。わたしたちがほんとうにしなければならないのは神の戒めを守り,決して希望を失わないことです。
しかし,このような混乱と破局の中にあってどこに希望を見いだせるでしょうか。一言で言えば,この荒れ狂う時代に霊的平安を得る唯一の望みは,イエス・キリストにわたしたちの心と思いを向けるということです。……信仰の盾で身を固めるならば,わたしたちは日常のチャレンジに打ち勝ち,大きな弱点や恐れを打ち負かすことができます。最善を尽くして神の戒めを守るならば,何が起ころうとも,わたしたちには平安がとどまるのです。」(「希望のかなった喜び」『聖徒の道』1993年1月号,37-38)
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ジョセフ・スミス-マタイ1:27と31にはどのような再臨のしるしが挙げられているでしょうか。この預言が成就しつつある証拠として,あなたはどのような事柄を目にしているでしょうか。(伝道活動が盛んになっている,福音が説かれ,受け入れられる地域が全世界で増えている。)わたしたちはどのようにしてこれらの預言の成就を助けることができるでしょうか。
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ジョセフ・スミス-マタイ1:29-30にはどのような再臨のしるしが挙げられているでしょうか。この預言が成就しつつある証拠として,あなたはどのような事柄を目にしているでしょうか。再臨に先立って起きる自然災害に備えるために末日の預言者たちはどのような勧告を与えているでしょうか。
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ジョセフ・スミス-マタイ1:32-33にはどのような再臨のしるしが挙げられているでしょうか。
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主はエルサレムで,弟子たちに「聖なる場所に立たなければならない」と語り(ジョセフ・スミス-マタイ1:12),現代でも同じような勧告を与えておられます(教義と聖約87:8;101:22)。わたしたちが立つべき聖なる場所にはどのようなところがあるでしょうか。末日に起きる苦難のときに,これらの場所はどのようにわたしたちの守りとなるでしょうか。
エズラ・タフト・ベンソン大管長はこのように述べている。「聖なる男性と聖なる女性は聖なる場所に立ちます。これらの聖なる場所には,神殿,礼拝堂,家庭,そして『防御のためとなり,また嵐と激しい怒りが全地にありのままに注がれるときに,その避け所となる』(教義と聖約115:6)と主が言われたシオンのステークが含まれます。」(“Prepare Yourself for the Great Day of the Lord,” Brigham Young University 1981 Fireside and Devotional speeches「主の大いなる日のために備えなさい」『ブリガム・ヤング大学1981年度ファイヤサイドおよび礼拝集会』68)
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主の再臨を前にした末日に生きているわたしたちが惑わされないように,イエスはどのような指針を与えられたでしょうか(ジョセフ・スミス-マタイ1:37参照)。主の言葉を大切に蓄えるにはどうすればよいでしょうか。あなたは,主の言葉を大切に蓄えることによって惑わされなかったという経験をしたことがあるでしょうか。
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イエスはわたしたちを主の再臨に備えさせるために,以下の聖句でどのようなことを教えておられるでしょうか。
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いちじくの木のたとえ(ジョセフ・スミス-マタイ1:38-40)
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再臨とノアの時代との比較(41-43節)
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畑で働いている二人と製粉所で臼をひいている二人に関する預言(44-46節)
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家の主人と盗人のたとえ(47-48節)
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主人と僕たちのたとえ(49-54節)
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わたしたちが主の来臨に絶えず注意を払い,備えることはなぜ大切でしょうか。主にお会いするために注意を怠らず,また備えるためにはどうすればよいでしょうか。
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救い主が再臨されるときに義人はどうなるでしょうか(ジョセフ・スミス-マタイ1:37,44-45,50;1テサロニケ4:16-18;教義と聖約88:96-98参照)。
結び
イエス・キリストの再臨に関する聖典の預言はすべて成就することを証する。救い主の教えを研究し,生ける預言者の勧告に従うことによって,わたしたちはキリストに会う準備ができることを強調する。準備ができていれば,わたしたちにとって再臨はすばらしい日となる。
教えるためのそのほかのアイデア
以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。このアイデアをレッスンに取り入れてもよい。
末日に啓示された再臨のしるし
預言者ジョセフ・スミスはイエスの古代の弟子たちに与えられた預言を繰り返すとともに,明確にする啓示を受けたことを説明する。そのような啓示の一つが教義と聖約45に記されている。教義と聖約45:15-55とジョセフ・スミス-マタイとを生徒に比較させる。
教義と聖約45:60-61で,主はジョセフ・スミスに『新約聖書』の翻訳を始めるように言われたことを指摘するとよい。ジョセフ・スミス-マタイはこの霊感による翻訳の一部である。