日曜学校―福音の教義
第42課:清い信心


42

清い信心

ヤコブ

目的

わたしたちが自分の宗教に対して,よりいっそう献身するために身に付けなければならない特質を生徒に理解させる。

準備

  1. 以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。

    1. ャコブ1:1-45:10-11。ヤコブは苦難を堪え忍ぶよう教える。

    2. ヤコブ1:5-74:8。ヤコブは信仰をもって神に祈るよう教える。

    3. ャコブ1:19-20,263:2-18。ヤコブは舌を制し,怒るに遅くなければならないと教える。

    4. ヤコブ1:22-25,272:14-264:17。ヤコブはわたしたちが「御言を行う人」になり,行いによって信仰を表さなければならないと教える。

  2. そのほかの読書課題:『聖句ガイド』「ヤコブ(主の兄弟)」の項,265。

  3. 教えるための提案:「神と人の間の交通が現実に行われるものであることを教えてください。一人一人に対して,ふさわしく祈る方法,神から与えられる答えを受けてそれを知る方法を教えてください。」(リチャード・G・スコット,“Four Fundamentals for Those Who Teach and Inspire Youth” CES Old Testament Symposium Speeches 1987「青少年に教え,霊感を与えるための4原則」『1987年教会教育部旧約聖書シンポジウムでの講演』3)

レッスンの展開

導入

適切であれば,以下の活動または教師が考えた活動をレッスンの始めに行う。

黒板に「清い信心」と書いて,以下の質問をする。

導入

  • 「清い」とはどういう意味でしょうか。(本物の,純正な,完全な,完璧な,などの答えが考えられる。)「信心」〔訳注-宗教〕とはどういう意味でしょうか。(神を礼拝する儀式,信条や慣習の方式,特定の生き方をする決意,などの答えが考えられる。)

  • あなたは「清い信心」をどのように定養しますか。

一人の生徒にヤコブ1:27を読んでもらう。本課では,わたしたちが「清い信心」を表すような生活を送り,「神のみまえに清く」あるために,ヤコブの教えをどのように生活の中に取り入れるかについて話し合うことを説明する。

聖句を使った話し合いと応用

黒板に「清い信心」と書いておき,ヤコブの手紙に記されている教えを採り上げる度に,それらを書き出していく。ヤコブが教えたそれぞれの概念は,「清い信心」を示すような生活を送るうえでどのように役立つかについて話し合う。

ヤコブの手紙の著者はイエス・キリストの兄弟であったと一般的に考えられていることを説明する。イエスが復活された後,ヤコブは使徒として働いた。ヤコブは初期の教会において重要な指導者の一人であった(使徒12:1715:13-20)。

1.わたしたちは苦難を堪え忍ばなければならない。

ヤコブ1:1-45:10-11を読んで,話し合う。

  • 信仰の試しに遭うことについてヤコブはどのように教えているでしょうか(ジョセフ・スミス訳ヤコブ2-3参照。ジョセフ・スミス訳では,「いろいろな試錬」が「多くの試練」と訂正されている)。試練によってどのように忍耐力が養われるでしょうか。わたしたちは苦難を堪え忍ぶときに,どのような祝福を受けるでしょうか(ヤコブ1:4ローマ5:3-5アルマ36:3参照)。

    オーソン・F・ホイットニー長老はこのように記している。「わたしたちの味わう苦痛,経験する試練はどれ一つをとっても無駄なものはない。それによってわたしたちは訓練され,また忍耐力や信仰,不屈の精神,謙遜さなどの特質が養われるのである。わたしたちの味わう苦痛,忍耐する事柄はいずれも,特に辛抱強く堪え忍ぶならば,それらはわたしたちの人格を築き,心を清め,心を開き,わたしたちをより慈悲深い愛に富んだ者とし,なおいっそう神の子と呼ばれるにふさわしい者としてくれる。」(スペンサー・W・キンボール,Faith Precedes the Miracle『奇跡に先駆ける信仰』98で引用)

  • ヤコブは苦しみを堪え忍ぶことについて優れた模範を示した人として,だれを挙げているでしょうか(ヤコブ5:10-11参照)。あなたは,末日の預言者の中でこのような忍耐を示した人を知っていますか。彼らの模範はあなたにとってどのような助けとなっているでしょうか。

2.わたしたちは信仰をもって神に祈らなければならない。

ヤコブ1:5-7ヤコブ4:8を読んで,話し合う。

  • ヤコブは「知恵に不足している」人々に対してどのような助言を与えているでしょうか(ヤコブ1:5-6参照)。わたしたちが信仰をもって願い求めるならば,天父はどうされるでしょうか。あなたは祈りがこたえられることについてどのような体験がありますか。

  • ジョセフ・スミスはヤコブ1:5の助言を読んだときにどのような動機づけを受けたでしょうか(ジョセフ・スミス-歴史1:11-13参照)。わたしたちはジョセフ・スミスの経験からどのようなことを学べるでしょうか。ジョセフがヤコブ1:5の勧告に従う決意をしたことによって,わたしたちはどのような影響を受けているでしょうか(ジョセフ・スミスー歴史1:14-20参照)。

    スペンサー・W・キンボール大管長はこのように述べている。「14歳の少年が聖典を読んで,祈るために森に入ったために,……彼が天よりの啓示に従ったからこそ,わたしたちに末日聖徒イエス・キリスト教会が与えられたのです。14歳の少年が森に入って祈ったために,わたしたちは全世界で最も幸福な民になるためのすベての祝福を手にしているのです。」(Conference Report『大会報告』1976年メルボルン・オーストラリア地域大会,23)

    青少年のクラスを教えている場合,教師は,信仰をもって神に願い求め,知恵を受けることが,特定の年齢や環境に限定されているわけではないことを証する。ジョセフ・スミスがヤコブの言葉を実行して,最初の示現を受けたのは彼が14歳のときであった。天使モロナイの訪れを受け,保管されていた金版を示されたのはジョセフが17歳のときであった。

  • 信仰を持たずに祈る人々についてヤコブは何と言っているでしょうか(ヤコブ1:6-7参照)。わたしたちは信仰を強めるためにどのようなことができるでしょうか。

  • ヤコブは「神に近づきなさい。そうすれば,神はあなたがたに近づいて下さるであろう」と教えました(ヤコブ4:8)。わたしたちは熱心に祈ることによって,どのように神に近づくことができるでしょうか。

3.わたしたちは舌を制し,怒るに遅くなければならない。

ヤコブ1:19-20,263:2-18について話し合う。選んだ箇所を何人かの生徒に声を出して目売んでもらう。

  • ヤコブは「聞くに早く,語るにおそく」なければならないと教えました(ヤコブ1:19)。あなたはこの勧告が正しいことを生活の中で体験したことがあるでしょうか。聞き上手になり,よく考えてから話すようにするためにはどうすればよいでしょうか。

  • ヤコブは「怒るにおそくあるべきである」とも教えています(ヤコブ1:19)。怒りの気持ちで話したり,行動したりするとどのような結果を招くことになるでしょうか。あなたはこの勧告が正しいことを生活のどのような経験によって確信したことがあるでしょうか。どうすれば怒りに打ち勝ち,怒りを抑えることができるでしょうか。

  • ヤコブは舌を制さなければならない〔訳注-英文では「舌にくつわをかける」という意味の表現になっている〕と教えています(ヤコブ1:26)。馬のくつわにはどのような目的があるでしょうか。(馬を導き,コントロールする。)どうすればヤコブの勧告に従って,舌を制することができるでしょうか(ヤコブ4:11参照。うわさ話をしない,うそをつかない,口論を避ける,誓わない,怒りに任せた言葉を吐かない,などの答えが考えられる。わたしたちは,親切な言葉をかけるために,真理を語るために,祈るために,平和をつくり出すために舌を用いるべきである)。

  • ヤコブ3:3-5を読む。ヤコブはこれらの聖句で舌を何にたとえているでしょうか。(馬のくつわと船の舵。くつわは馬のロに入れて使う鉄製の棒であると説明するとよい。)これらの比較から何を学ぶことができるでしょうか。言葉をコントロールできるようになると,生活のほかの面もコントロールできるようになるのはなぜでしょうか。

  • 舌を制するとなぜ平安を得ることができるのでしょうか(ヤコブ3:16-18参照)。舌を制することが清い信心において重要な役割を果たすのはなぜでしょうか。

4.わたしたちは「御言を行う人」になり,行いによって信仰を表さなければならない。

ヤコブ1:22-25,272:14-264:17から選んだ箇所を読んで,話し合う。

  • 御言葉を「ただ聞くだけの者」とはどのような意味でしょうか(ヤコブ1:22)。「ただ聞くだけの者」はどのような意味で,自分を欺いているでしょうか(ヤコブ1:22-254:17参照)。「御言を行う人」はどのような祝福を受けるでしょうか。

  • ヤコブは信仰と行いの関係をどのように教えているでしょうか(ヤコブ2:14-26参照)。行いを伴わない信仰はなぜ死んでいるのでしょうか。善い行いはどのようにイエス・キリストを信じる信仰を強めるでしょうか。

  • ヤコブは清い信心を実行するために,どのようなことを行うよう説いているでしょうか(ヤコブ1:27を参照するか,「導入」の活動を思い起こさせる)。助けを必要としている人々を訪問したり,彼らを助けたりすることはなぜ,清い信心と言えるでしょうか。

  • 「世の汚れに染まずに」いるためにはどうすればよいでしょうか(ヤコブ1:27教義と聖約59:9参照)。毎週教会の集会に出席し,聖餐を受けることはどのように世の汚れに染まらないための手段となるでしょうか。

結び

ヤコブの教えが真実であることを証する。わたしたちは苦難を堪え忍び,信仰をもって神に祈り,自分自身を修め,善い行いをすることによって,自分の宗教に対してもっと清く生活できることを強調する。

教えるためのそのほかのアイデア

以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。

1.生徒による提示

本課を教える1週間前に,5人の生徒にヤコブの各章を研究する割り当てを与える。レッスンの始め(「導入」の活動を実施する場合はその直後)に,割り当てを受けた箇所を勉強して学んだ事柄を5人の生徒に発表させる。

2.ビデオ・プレゼンテーション

ヤコブ1:27を読んでから,『「新約聖書」ビデオ・プレゼンテーション』(53914 300)から「体は神の宮」(6分)を見せる。世の汚れに染まらないようにする方法についてビデオが教えている事柄について話し合う。

3.ヤコブの手紙に関するそのほかの話し合い

  • ジョセフ・スミス訳のヤコブ1:12によると,「耐え忍ぶ」という語は「抵抗する」に訂正されています。試練を堪え忍ぶことと試練に抵抗することの間にはどのような違いがあるでしょうか。誘惑に抵抗する人々にはどのような約束が与えられているでしょうか(ヤコブ1:124:7参照)。

  • ヤコブは人を裁くことについてどのように教えているでしょうか(ヤコブ2:1-9参照)。ある人々はなぜこの世的な地位や物質的な財産によって他人を裁くのでしょうか。どうすれば人の外見ではなく,神がされるように人の心に目を向けるようにすることができるでしょうか(1サムエル16:7教義と聖約38:24-27参照)。

  • ヤコブはねたみと欲情がもたらす影響についてどのように教えているでしょうか(ヤコブ3:164:1-6参照)。どうすればねたみや欲情を克服できるでしょうか(ヤコブ4:7-10参照)。

  • ヤコブは病人を癒すための儀式についてどのように教えているでしょうか(ヤコブ5:14-15参照)。神権の癒しの力によってあなたが祝福を受けたり,あるいはほかの人が祝福されるのを見たりしたことがあるでしょうか。

  • ヤコブは「真理の道から踏み迷う」人々を助けることの大切さを強調しています(ヤコブ5:19-20)。わたしたちはこれをどのように行うことができるでしょうか。