第4課
「主の道を備えよ」
目的
生徒が自分の罪を悔い改め,バプテスマの聖約を守り,誘惑に立ち向かうことによって救い主に近づこうとする気持ちを抱くように励ます。
準備
-
以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。
-
マタイ3:1-12。バプテスマのヨハネは悔い改めを宣べ伝え,バプテスマを施して,主イエス・キリストの道を備える。
-
マタイ3:13-17。イエスはバプテスマのヨハネからバプテスマを受けられる。
-
マタイ4:1-11。イエスは荒れ野でサタンの誘惑に立ち向かわれる。
-
ヨハネ1:35-51。バプテスマのヨハネの一部の弟子たちはイエスに従う。
-
-
そのほかの読書課題:マルコ1:1-13;ルカ3:1-22;4:1-14;ヨハネ1:19-34;2:1-25;2ニーファイ31;『聖句ガイド』「バプテスマ」の項,207-209;「バプテスマのヨハネ」の項,279。
-
以下の資料を入手できれば,レッスンで活用する。「荒れ野で教えを宣ベるヨハネ」(『福音の視覚資料セット』207);「イエスにバプテスマを施すバプテスマのヨハネ」(『福音の視覚資料セット』208)
-
教えるための提案:レッスンの時間を賢明に使う。レッスンの各部分で何を話し合い,どれほどの時間を使うかを計画する。しかし,レッスンを実施するときは御霊の導きのままに進める。準備した内容をすべて教えようとして,有意義に進められている話し合いを中断してはならない。生徒にとっては,テキストに掲げられているすべての要点について学ぶよりも,学びそして御霊を感じることの方が大切である。
レッスンの展開
聖句を使った話し合いと応用
以下の聖句の教えを通してわたしたちがどのように救い主のもとへ近づくことができるかについて話し合う。レッスンの時間内にすべての質問をすることやすべての要点について教えることは難しいので,生徒の必要を最もよく満たすものを祈りをもって選ぶことが大切である。
1.バプテスマのヨハネは主イエス・キリストの道を備える。
マタイ3:1-12を読んで,話し合う。伝道するヨハネの絵を見せながら,以下に記されている当時の状況を教師自身の言葉で話す。
ヨハネが生まれる何世紀も前から,多くの預言者はヨハネが携わる教導の業を予見し,またメシヤの道を備える者として偉大な働きをすることを証していた(イザヤ40:3;1ニーファイ10:7-10)。ヨハネが携わる教導の業の準備として,天使ガブリエルはヨハネが誕生することを告げた(ルカ1:13-19)。ザカリヤはヨハネに命名し,割礼を施した日に預言した(ルカ1:67-79)。また一人の天使は生後8日のヨハネに対して,将来果たすべき使命に聖任した(教義と聖約84:27-28)。ヨハネが偉大な人物であることを語った至高の言葉は救い主御自身によるものである。主はこのように言われた。「女の産んだ者の中で,ヨハネより大きい人物はいない。」(ルカ7:28)
ヨハネが生まれたのはイエスの誕生より約6か月前である。イエスが誕生されて間もなく,ユダヤ人の新しい王が生まれたことを聞いて不安を感じたへロデは,「べツレヘムとその付近の地方とにいる2歳以下の男の子を,ことごとく殺した。」(マタイ2:16)一人の天使がイエスを守るために,夢の中でヨセフに現れて,イエスとマリヤを連れてエジプトへ行くよう指示を与えた(マタイ2:13-15)。ヨハネを守るために,「ザカリヤは〔エリサべツに〕ヨハネを連れて山の中へ行かせた。彼はそこで,いなごと野蜜を食物として成長した。」(Teachings of the Prophet Joseph Smith『預言者ジョセフ・スミスの教え』ジョセフ・フィールディング・スミス選261)それから長い年月を経た後にヨハネは人々を教え導く業を始めた。最初は荒れ野で教えを説き,その後エルサレムと「ヨルダン附近一帯」(マタイ3:5)で伝道した。
-
バプテスマのヨハネはどのような使命を帯びていたでしょうか(ルカ1:76-79;3:3-4参照)。だれかが主のために道を備えることはなぜ大切だったと思いますか。
-
ヨハネは救い主の来臨に人々を備えさせるために,どのようなメッセージを宣べ伝えたでしょうか(マタイ3:1-2参照)。悔い改めるとはどういう意味でしょうか。(生徒が質問に答えている間に,以下の悔い改めの要素を黒板に書き出す。生徒に参照聖句を読ませてもよい。)
-
罪を犯したことについて,神の御心に添った悲しみを覚える(2コリント7:9-10)。
-
罪を告白し,捨てる(教義と聖約58:42-43)。
-
悪い行いによって引き起こされた結果について,可能であれば元の状態に戻す(ルカ19:8)。
-
戒めに従う(教義と聖約1:31-32)。
-
主に心を向け,主に仕える(モーサヤ7:33)。
-
-
わたしたちは悔い改めによって,どのように天父とイエス・キリストとともに住むための準備をすることができるでしょうか(3ニーファイ27:19参照)。わたしたちは毎日悔い改めることによって,どのように天父と御子に近づくことができるでしょうか。
-
パリサイ人とサドカイ人はヨハネが執行するパプテスマを目にしていましたが,自分たちはバプテスマを受けようとはしませんでした(マタイ3:7;ルカ7:29-30)。ヨハネは彼らを叱責し,「悔い改めて,……海い改めにふさわしい実をもたらすよう」強く勧告しました(ジョセフ・スミス訳マタイ3:35〔英文〕より翻訳;「実」とは結果という意味を指す)。悔い改めの実とはどのようなことをいうのでしょうか(モロナイ8:25-26参照)。
-
ヨハネは「悔い改めのために,水で」バプテスマを施しました。そして,イエスが「聖霊と火とによって」バプテスマを施されることを約束しました(マタイ3:11)。「聖霊と火とによって」パプテスマを施すとはどういう意味でしょうか。わたしたちは按手によって聖霊の賜物を
受けるときに聖霊と火とによるバプテスマを受けます(教義と聖約20:41)。「聖霊の賜物は,ふさわしい状態であれば,聖霊を伴侶として持つことができる権利である。……それはすべての罪から人を清め,聖別する清浄作用を持つ。このために,しばしば『火』と呼ばれる。」(Bible Dictionary,“Holy Ghost,”『聖書辞典』「聖霊」の項,704)
2.イエスはバプテスマのヨハネからバプテスマを受けられる。
マタイ3:13-17を読んで,話し合う。ヨハネがイエスにパプテスマを施している絵を見せる。
-
ヨハネはなぜイエスにバプテスマを施すことをためらったのでしょうか(マタイ3:14参照)。イエスはなぜバプテスマをお受けになる必要があったのでしょうか(マタイ3:15;2ニーファイ31:6-7,9-11参照)。わたしたちはなぜパプテスマを受ける必要があるのでしょうか(2ニーファイ31:5,12-13,17-18;教義と聖約20:71;49:13-14参照)。
-
わたしたちはバプテスマを受けるときにどのような聖約を交わすのでしょうか(教義と聖約20:37参照)。これらの聖約はわたしたちの日常生活にどのような影響を及ぼすでしょうか(モーサヤ18:8-10参照)。
3.イエスは荒れ野でサタンの誘惑に立ち向かわれる。
マタイ4:1-11を読んで,話し合う(ジョセフ・スミス訳マタイ4:1,5-6,8-9,11参照)。
-
イエスはバプテスマを受けた後しばらくしてから,御霊に導かれて,神とともにいるために荒れ野へ行かれました(ジョセフ・スミス訳マタイ4:1)。イエスがサタンの誘惑に立ち向かう準備をされるために,この経験はどのように役立ったと思いますか。断食,祈り,「御霊によって導かれる」ことによって,どのように誘惑に対する防御を築くことができるでしょうか。
-
サタンは断食をしておられたイエスに対して石をパンに変えるよう誘惑したとき,イエスのどの欲望を攻撃の目標にしようとしたのでしょうか(マタイ4:2-3参照。サタンは肉体的な欲求に付け込もうとした)。サタンはわたしたちの肉体的な欲求に対してどのように誘惑を仕掛けてくるでしょうか。これらの誘惑に気づいてそれを退けるにはどうすればよいでしょうか。
-
サタンはイエスに宮の頂上から飛び降りて,天使たちに助けるよう命じる力を持っていることを示すよう誘惑して,自尊心に付け入ろうとしました(マタイ4:5-6)。サタンはわたしたちの自尊心に対してどのように付け込もうとしてくるでしょうか。自尊心を満足させようとする誘惑に気づいてそれを退けるにはどうすればよいでしょうか。
-
サタンはもしイエスがサタンを拝むなら,どうすると言ったでしょうか(マタイ4:8-9参照)。サタンは世の富や力についてどのようにわたしたちを誘惑しているでしょうか。これらの誘惑に気づいてそれを退けるにはどうすればよいでしょうか(マタイ4:10参照)。
-
イエスに世の王国を与えると言ったサタンの言葉にはどのような偽りが含まれていたでしょうか(教義と聖約104:14参照)。サタンはわたしたちを罪に陥れるために,どのような偽りの言葉をもって誘いかけているでしょうか。
-
イエスはサタンの誘惑に対して,それぞれ聖典から引用してこたえられました(マタイ4:3-4,6-7,8-10)。わたしたちはどのようにして誘惑に打ち勝つ力を聖典から得ることができるでしょうか(ヒラマン3:29-30参照)。
-
サタンはイエスが神の子であるかどうかを2度尋ねました(マタイ4:3,6)。サタンはなぜこの質問をしたと思いますか。サタンは今日の世の中でどのようにこの質問を問いかけているでしょうか。わたしたちが誘惑に遭うときに,自分が神の子であると知っていることはどのように助けとなるでしょうか(モーセ1:12-22参照)。
-
神の御子イエスはわたしたちが遭遇する誘惑と同じような誘惑に遭われたことを知っていることは,わたしたちにとってどのような助けとなるでしょうか(この質問について話し合うときに,へブル4:14-15を生徒に読ませるとよい)。
ジョセフ・B・ワースリン長老はこのように述べている。「主はそのような人間的な力の限界をよく御存じです。わたしたちの弱点も御存じです。毎日の生活が大変であることもよく理解していらっしゃいます。わたしたちがこの世的な欲望や情熱の誘惑を受けていることもよく御存じで,深い思いやりを持っていらっしゃいます。」(「先祖の信仰」『聖徒の道』1996年7月号,41)
4.パプテスマのヨハネの一部の弟子たちはイエスに従う。
ヨハネ1:35-51から選んだ箇所を読んで,話し合う。
-
イエスが地上における教導の業を始められたとき,バプテスマのヨハネは自分の弟子たちにどうするよう勧めたでしょうか(ヨハネ1:35-37参照)。イエスはバプテスマのヨハネの二人の弟子たちが御自分に従って来るのを御覧になったとき,どうされたでしょうか(ヨハネ1:38-39参照)。
-
アンデレは救い主について聞き,イエスが救い主であられることを知ったとき,どうしたでしょうか(ヨハネ1:40-42参照)。ピリポはイエスがメシヤであられることについて証を得た後,ナタナエルの疑問に対してどのように答えたでしょうか(ヨハネ1:43-46参照)。わたしたちは人々に救い主を「きて見なさい」と勧めるためにどのようなことができるでしょうか。
結び
わたしたち一人一人に救い主を「きて見なさい」という招きが与えられていることを証する。その招きを受け入れるには悔い改め,パプテスマを受け,パプテスマの聖約を守り,誘惑に立ち向かわなければならないことを説明する。
教えるためのそのほかのアイデア
以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。
1.救い主のパプテスマによって明らかにされた事柄
マタイ3:16-17を検討する。
-
救い主がバプテスマを受けられたときの記録には,バプテスマを執行するには水に沈めなければならないことがどのように明らかにされているでしょうか(マタイ3:16参照。その他の参照箇所-ヨハネ3:23;ローマ6:3-6;3ニーファイ11:23-26;『聖句ガイド』「バプテスマ」の項,207。ここではパプテスマという語はギリシャ語で「浸す」または「沈める」という意味であることが説明されている)。
-
ヨハネはイエスがバプテスマを受けられた後に,何を見たでしょうか(マタイ3:16参照)。ヨハネはだれの声を聞いたのでしょうか(マタイ3:17参照)。救い主がパプテスマを受けられたときの記録は,神会についてどのようなことを教えているでしょうか。(天父,イエス・キリスト,聖霊は別個の御方である。)
2.イエスは母に対して尊敬と愛を示された。
パプテスマを受けた後にイエスは弟子たちとともにカナで行われた婚礼に出席された(ヨハネ2:1-11)。イエスの母が婚礼のためのぶどう酒がなくなったことを告げると,イエスは母に答えて言われた。「わたしはあなたのために何をしたらよいのですか。わたしはあなたが望むことをします。」(ジョセフ・スミス訳ヨハネ2:4〔英文〕より翻訳)
-
イエスの言葉には母親に対するどのような思いが表されているでしょうか。イエスは母のためにどのようなことをされたでしょうか(ヨハネ2:6-11参照。これは『新約聖書』に記録されているイエスの最初の奇跡であることを指摘する)。
3.イエスは神殿を清めたときに,神殿に対する敬虔な思いを示された。
生徒にヨハネ2:13-17を黙読させる。商人と両替人が神殿を汚しているのをイエスが気づかれたときの様子がここに記されている。「神殿を清められるイエス」(『福音の視覚資料セット』224)を入手できれば,ここで見せる。イエスは「……みな宮から追いだし,両替人の金を散らし,その台をひっくりかえし」て,神殿に対する尊敬と敬虔な思いを示されたことを指摘する(ヨハネ2:15)。天父に対する敬虔な思いとは,教会で静かに座っていることだけにとどまらず,さらに多くの事柄が含まれることを説明する。わたしたちが天父を愛し,天父の力に対する感謝を行いによって示すことが含まれる。