第34課
「あなたがたに伝えたとおり言伝えを守っているので」
目的
福音の教義に従って生活し,神権の儀式を受けることの大切さを理解できるよう生徒を助ける。
準備
-
以下の聖句を読み,内容について深く考え,祈る。
-
1コリント11:1-3,11-12。パウロは夫と妻の関係,また主との関係について教える。
-
1コリント11:17-29。パウロは,聖餐は救い主の犠牲の象徴であり,主を覚えながら受けなければならないと教える。
-
1コリント12-14。パウロは,数々の霊の賜物があり,それらはすべて教会にとって大切なものであるということを教える。また,慈愛はどのような賜物や特質よりも重要であると教える。そして,霊の賜物はすべての人々のために用いるべきであると教える。
-
1コリント15。パウロは,わたしたちはイエス・キリストの恵みによって復活すると教える。また死者のためのバプテスマと3段階の栄光についても語っている。
-
-
そのほかの読書課題:3ニーファイ18:1-14;モロナイ7:44-48;10:8-18;教義と聖約46:1-26;76:50-119;88:27-32,95-102。
-
以下の絵が入手できる場合は,慈愛がどのようなものかを説明するのにレッスンの中で使用する。「病人の癒し」(『福音の視覚資料セット』613);「ホームティーチング」(『福音の視覚資料セット』614);「互いに仕えなさい」(『福音の視覚資料セット』615)
-
教えるための提案:教師が福音を効果的に教えるためには,人の心を理解する賜物が必要である。生徒たちの必要をさらによく理解するには,教師は慈愛を持ち,聖霊の導きを受けなければならない。教師は祈りの気持ちをもって,各生徒に必要な事柄を考え,彼らがそうできるようにするにはどうしたらよいかを深く考えなければならない(『教師,その大いなる召し』単元B「1.聞き分ける心」27-28参照)。
レッスンの展開
聖句を使った話し合いと応用
以下の聖文を教えるに当たって,それらが日々の生活にどのように当てはまるかについて話し合う。それらの聖句に書かれた原則に関連した体験を分かち合うよう,生徒たちを促す。
1.夫と妻の関係,また主との関係
1コリント11:1-3,11-12を読んで,その内容について話し合う。
-
パウロが1コリント11:3の中で採り上げている3つの関係とは,どのようなものですか。パウロがこれらの関係をすべてまとめて述べているのはなぜだと思いますか。イエス・キリストと御父の間にはどのような関係が存在するでしょうか(ヨハネ5:20;8:29;17:21-22参照)。わたしたちはどうしたら,イエス・キリストとの関係において,これらの特質を強めることができるでしょうか。
-
「主にあっては,男なしには女はないし,女なしには男はない」とはどういう意味でしょうか(1コリント11:11)。神の王国において,夫婦の関係は非常に大切なものです。それはなぜでしょうか。このことは,夫と妻がどのように接し合うべきかについて,何を教えているでしょうか。
マリオン・G・ロムニー副管長は次のように教えている。「夫と妻は一致し,尊敬し合い,互いを思いやらなければならない。自分勝手な行動を取ったり,あるいは取ろうとしてはならない。……忘れてならないのは,妻は夫の奴隸ではないし,夫も妻の奴隸ではないということである。夫と妻は対等である。」(「神の形に」『聖徒の道』1978年11月号,2)
「導入」の活動を用いる場合は,これらの関係がわたしたちの人生の分岐ポイントとして,肯定的な働きをすることもあれば,否定的な働きをすることもあるということについて話し合う。
2.聖餐の目的
1コリント11:17-29を読んで,その内容について話し合う。コリントの聖徒の多くは,聖餐の儀式の目的を理解していなかったことを説明する。彼らは聖餐式に意識を集中せず,互いに争い,過度に食べたり飲んだりしていた(1コリント11:18-22)。
-
聖餐式の最も大切な目的は何でしょうか。(ジョセフ・スミス訳1コリント11:20には,主の晚餐を食べることであると書かれている。)
ジェフリー・R・ホランド長老は次のように教えている。「多くの面で危機にさらされている状況を考えると,わたしたちが暗黒の天使から逃れることを記念するこの儀式を,もっと真剣に受け止めるべきではないでしょうか。聖餐式は力強く敬虔なひとときであり,反省のときであるべきです。また,霊的な気持ちや思いを鼓舞するときです。ですから,聖餐式はせき立てて行い,さっさと終わらせるものではなく,真の目的を果たすように行わなくてはなりません。聖餐会の目的は,今申し上げたとおりです。」(「わたしを記念するため,このように行いなさい」『聖徒の道』1996年1月号,73)
-
パウロは,聖餐の目的は何であると教えていますか(1コリント11:23-26参照;ルカ22:19-20も参照)。わたしたちは聖餐を受けるときに,どうしたらもっと心と思いをイエスに集中させることができるでしょうか。
-
ふさわしい状態で聖餐を受けることの大切さについて,パウロは何を教えているでしょうか(1コリント11:27-29参照)。ふさわしい状態で聖餐を受けるとはどういう意味でしょうか。自分自身のふさわしさを省みることは,聖餐の非常に大切な要素です。なぜでしょうか。
-
皆さんは聖餐にあずかることによって,これまでどのような祝福を受けてきましたか。わたしたちはどうしたら,日々の生活の中で,この儀式をより有意義なものにすることができるでしょうか。
「導入」の活動を用いる場合は,聖餐に対する態度が,わたしたちの生活の分岐ポイントになり得るしとについて話し合う。
3.すべての霊の賜物の重要性
1コリント12-14について話し合う。選んだ箇所を,生徒たちに朗読してもらう。パウロの手紙は,コリントの聖徒たちが異言を語る賜物を過度に重視していた可能性があることを示唆している点を説明する(1コリント14:2-14,27-28)。パウロは12-14章の中で,霊の賜物はすべて大切であるが,聖徒たちは全体の益になる賜物を求めるべきであるということを教えている。
-
霊の賜物とはどのようなものでしょうか(聖霊を通して与えられる霊的な祝福や能力。1コリント12:7-11;教義と聖約46:11参照)。神はなぜ霊の賜物を授けてくださるのでしょうか(教義と聖約46:26参照)。
-
皆さんはこれまで,どのような御霊の賜物を体験したり,見たりしてきましたか(1コリント12:8-10;モロナイ10:8-17;教義と聖約46:13-25に書かれている御霊の賜物の中から幾つかを採り上げ,話し合うとよい)。これらの賜物は皆さん自身あるいはほかの人々に,どのような祝福をもたらしてきましたか。
-
パウロが教会員を体の様々な部分にたとえたのはなぜでしょうか(1コリント12:12-25。一人一人の会員が,互いに大切な存在であり,教会全体にとっても大切な存在であるということを示すため)。わたしたちはどうしたら,このたとえを様々な御霊の賜物に当てはめることができるでしょうか。
-
聖典はわたしたちに御霊の賜物を求めるように勧告しています(1コリント12:31;教義と聖約46:8)。わたしたちはどのような動機で御霊の賜物を求めるべきでしょうか(1コリント14:12;教義と聖約46:9参照)。
-
パウロは,霊の賜物のうち最も偉大なものは何であると教えていますか(1コリント13参照。4-7節に書かれている愛の属性の一つ一つを明確に定義し,どうしたらそれらを自分自身の生活に取り入れられるかについて話し合う。それらの属性を黒板に書き上げるとよい)。なぜ愛はほかのいかなる霊の賜物よりも大切なのでしょうか(1コリント13:1-3,8-13参照)。
-
皆さんは自分に慈愛を示してくれた人々によって,どのように祝福されてきましたか。わたしたちはどうしたら,慈愛をさらにはぐくむことができるでしょうか(モロナイ7:44-48参照)。
「導入」の活動を用いる場合は,慈愛はどのような意味でわたしたちの生活の分岐ポイントになり得るかという点について話し合う。
4.復活と栄光の段階
1コリント15から選んだ箇所を読み,その内容について話し合う。コリントの聖徒の多くが復活の真実性に疑いを持ち始めていたことを説明する(1コリント15:12)。
-
パウロは復活の証人としてどのような人々を挙げていますか(1コリント15:5-8参照)。パウロがこのように多くの復活の証人について言及したのはなぜでしょうか(2コリント13:1参照)。復活の証人は皆さんにとって大切な存在です。それはなぜでしょうか。
-
アダムの堕落と復活の関係について,パウロは何を教えているでしょうか(1コリント15:20-23参照)。
-
パウロは復活について教えるために,死者のためのパプテスマの教義をどのように用いているでしょうか(1コリント15:29参照。死者のためのバプテスマの儀式は,復活がなければまったく無意味なものとなる)。
-
パウロは栄光の異なる王国について,どのようなことを教えているでしょうか(1コリント15:35-44参照。わたしたちは様々な栄光の王国,すなわち日の栄え,月の栄え,星の栄えによみがえる。教義と聖約88:27-32も参照)。復活と3つの栄光の王国に関する教えは,皆さんの生き方にどのような影響を与えていますか。
結び
天の御父のもとへ戻れるように導いてくれる教えに従うことの大切さについて証する。「導入」の活動を用いる場合は,生徒たちに,物の考え方や行動など,各自の生活の中における分岐ポイントについて見直させる。それらの要素は,わたしたちの生活の方向性を変えるものである。生活を良い方向に向かわせる選択をするように促す。
教えるためのそのほかのアイデア
以下の資料はレッスンの概要を補足するためのものである。この中の幾つかをレッスンに取り入れてもよい。
1.「神は無秩序の神ではなく……。」(1コリント14:33)
生徒たちに1コリント14:33を読ませる。その後で以下の質問をする。
-
世の中の多くの混乱や争いの原因として,どのような事柄を挙げることができるでしょうか。世の中にはなぜ,そのように多くの混乱があるのでしょうか。主はなぜ「平和の神」と呼ばれるのでしょうか。
2.若人向けの活動
クラスが始まる前に,若い人々が日々の生活の中でどのようなときに慈愛を示すことができるかを考える。(例えば,学校で助けの必要な人を見かけたとき,兄妹同士で仲たがいをしたとき,寂しく感じたり,だれにも受け入れられていないと思っている友人に気がついたとき。)次に,そのような場合,パウロが1コリント13で教えている愛の様々な属性を,どのように示すことができるかを質問する。