初等協会テキストと分かち合いの時間
第33課 什分の一を納める


第33課

什分の一を納める

目 的

什分じゅうぶんの一を納めることによって,天父とイエス・キリストに愛を示せることを理解させる。

準 備

  1. マルコ12:41-44を祈りをもって研究する。『福音の原則』第32章;ジェームズ・E・タルメージ『キリスト・イエス』544-545ページも参照する。

  2. 図のように中央で二つ折りにした紙を用意する。

    2っのしるし

    じゅう分の一

    つかうかちょ金する

  3. 安男の話をするときに使う,お金を入れる箱を作る。ふたが付いていて,中が二つに仕切られた小さな箱があれば,それを使ってもよい。必要であれば次の指示と説明図に従って,仕切りを作る。

    箱の高さと幅を測る。厚手の紙で縦が箱の高さと同じ寸法,横が箱の幅より3センチ長い寸法の四角形を作る。この四角形の両幅に1.5センチずつのりしろを取り,折る。のりしろに接着剤を付けて,箱の中に仕切りとして入れる。この仕切りでできる空間は,片方を広く,もう一方を狭くする。

    箱の前面かふたの部分に「じゅう分の一」(狭い方の空間),「つかうかちょ金する」(広い方の空間)と書く。

    じゅうぶ分の一の箱

    a

    1.5cm

    箱の高さ

    箱の幅

    1.5cm

    仕切り

    b.点線に合わせて折る

    接着剤

    接着剤

    c

    仕切り

    d

    ふた

    つかうかちょ金する

    じゅう分の一

  4. レプタを示す円を二つ,図のように茶色い紙で作る。

  5. 献金用紙と什分の一を入れる封筒(子供の人数分)

  6. 「什分の一を主に」(『子供の歌集』139ページ)を歌うか歌詞を朗読できるように準備する。

  7. 教材

    1. 聖書

    2. 10円硬貨10枚

    3. 絵2-55「やもめの献金」

  8. レッスンで用いる「楽しい活動」の準備をする。

レッスン

子供に開会の祈りをさせる。

宿題を出していれば,その確認をする。

什分の一とは収入の10分の1

注意を引くための活動

10円玉10枚を手に持って,子供たちに見せる。

  • このお金が自分で働いて得たものだったら,どうしますか。

各自に答えさせる。生徒の答えに肯定的な意見を述べる。この質問には,正しい答えや間違った答えというものはない。子供の答えがあれば,話し合いを続ける。

什分の一を納めることを挙げる子供がいたら,それはお金を得たときにしなければならない非常に大切なことであると指摘する。什分の一を納めるという答えが出ない場合には,お金を稼いだときにしなければならないとても大切なことをこれから学んでいくと告げる。

天父がわたしたちに,収入があればその10分の1を納めるように命じていらっしゃることを説明する。わたしたちが収入の一部を什分の一として教会に納めると,教会はそれを用いて,人々に天父とイエス・キリストと福音について知らせるために,神殿,教会の様々な建物を建て,レッスンのテキスト,そのほかの資料などを作る。

活 動

10円玉を机か床の上に一列に並べながら,子供と一緒に数えていく。「じゅう分の一」と書いた紙を机か床の上に置く。それを自分で読むか,子供に読ませる。什分の一として納めるのは,自分が得たお金の10分の1であることを話す。机あるいは床の上に置いた10枚の10円玉のうち1枚が,什分の一となる。一人の生徒に,「じゅう分の一」と書いた紙の前に10円玉を1枚置かせる。「じゅう分の一」と書いた紙の隣に,「つかうかちょ金する」と書いた紙を置き,それを自分が読むか,子供に読ませる。

  • もしこれが自分で働いて得たお金なら,10枚のうち何枚が自分が使う分として残りますか。

9枚の10円玉をみんなで一つずつ数えながら,一人の子供に「つかうかちょ金する」と書いた紙の前に置かせる。

「つかうかちょ金する」と書いた紙の前に置かれた10円玉を指して,什分の一として納めたのは,収入のうちのわずかな一部であることを指摘する。

自分が得たお金のすべてについて什分の一を納めるべきことを説明する。自分が得たお金の10分の1を納めることをさらによく理解させるために,違う種類の硬貨や紙幣を使うとよい。

わたしたちは什分の一を納めることによって,正義を選ぶ

物 語

9枚の10円玉を『準備』の箇所の指示で作った箱の「つかうかちょ金する」の方に入れ,安男がどのように什分の一を納める選択をしたかを自分の言葉で話す。

この前おもちゃ屋に行ったとき,安男は欲しいと思っていたおもちゃを見つけました。安男はそれを買うお金をためるためにお母さんの手伝いをしてきました。100円玉が9枚たまりました。あと100円ためれば,あのおもちゃを買うことができます。お母さんは手伝いをしてくれたらお金を払うと言っています。

土曜日の朝,安男は目を覚ますと,食事をし,それからお母さんに頼まれていた仕事をしました。その仕事が終わってから,お母さんは安男の仕事ぶりをとても褒めてくれました。そしてピカピカの100円玉を1枚,安男に渡しました。あのおもちゃを買えるお金がたまって,安男は大喜びです。安男は箱の置いてある所へ行って,その中にもらったばかりの100円玉を入れました(貯金箱の「つかうかちょ金する」の方に硬貨を1牧人れる)。そしてお母さんと一緒に,おもちや屋へ行きました。

店に行くとあのおもちゃがありました。まだ売れていなかったので,安男はよかったと思いました。安男はこのおもちゃをしげしげと眺めました。そのおもちゃで遊べるのが待ち遠しくてたまりませんでした。お金を払おうとすると,店員がにっこり笑って,「1,000円頂きます」と言いました。安男は箱のふたを開けて,「つかうかちょ金する」の方の100円玉を数えました。安男は10枚目まで数え終わったところではっとしました。そのうちの100円は什分の一だったのです。安男はどうしてよいか分かりませんでした。あのおもちゃがどうしても欲しいのです。什分の一の分を店員に渡せば,そのおもちゃが自分のものになります。安男は店員を見てから,そのおもちゃに目を移し,それから什分の一の100円玉を見ました。

  • もし自分が安男だったら,皆さんはどうしますか。

安男は貯金箱の「じゅう分の一」の方に100円玉を1枚入れました(箱の「じゅう分の一」の方に硬貨を1枚入れる)。そして残りの9枚の100円玉を,箱の「つかうかちょ金する」の方に戻してから,おもちゃを元の棚の上に置きました。お母さんは何も言いませんでしたが,安男に腕を回して,しっかりと抱き締めてくれました。安男は,自分が正しいことをしたのだということを理解しました。次の日,安男は教会で監督に什分の一の封筒を渡しました。監督は安男の手を握って,天のお父様がどんなに喜んでいらっしゃることかと言いました。安男はとても幸せでした。自分が正しい選択をしたことを知っていたのです。(マーシャル・T・バートン,“The Little Red Car,” Instructor, 1966, 158-159

話し合い

  • 安男は何と何から一つを選ばなければなりませんでしたか。

  • 安男にとって,どうしてそれは難しいことでしたか。

  • 安男は自分が選んだことについて,どう思いましたか。それはどうしてですか。

  • 安男のほかに,だれがこのことを喜んでくれましたか。

什分の一を納めることは,天父とイエス・キリストに愛を示すことである

話し合い

什分の一を納めるのは,天父とイエス・キリストへの愛の表れであることを説明する。

  • 皆さんは今まで,天のお父様とイエス・キリスト様からどのような祝福を受けてきましたか。

天父とイエス・キリストから頂いている祝福に比べれば,感謝の気持ちを示すために納める什分の一は決して高額ではないことを指摘する。

聖文の物語

茶色の紙を切り抜いた二つの円を生徒に見せ,それがとても小さなものであることを告げる。それはイエス・キリストが地上にいらっしゃった時代に用いられたレブタという硬貨と同じ大きさであることを説明する。レプタは非常に価値が低い硬貨だった。

絵2-55「やもめの献金」を見せ,レプタはサイズも小さく,価値も低かったが,これを使って天父への愛を示した女性がいることを説明する。マルコ12:41-44の話を読んで聞かせる。

イエス・キリストの時代に,什分の一などの献金は神殿で,上が開いている大きな箱の中に集められていた(絵に描かれている箱を指差す)。あるとき,イエスは人々がやって来て,その箱に献金する様子を御覧になっていた。イエスは一人のやもめがお金を入れるのを見て,弟子たちをお呼びになった。そして,その女の人は貧しいにもかかわらず献金するほどに天父を愛しており,その行いは非常にすばらしいものであると弟子たちに言われた。

教師の提示

マルコ12:43から,イエスが弟子たちに教えられた事柄を読んで聞かせる。金持ちの人々が納めた金額と比べれば,そのやもめが献金した額はごくわずかであったが,イエスは彼女が天父を愛する気持ちから,自分の持っているすべてをささげたことを御存じだった。たとえ金額は少なくても,わたしたちも什分の一を納めることによって,天父とイエスへの愛を示すことができる。

安男がおもちゃを買う代わりに,什分の一を納めることによって,天父とイエス・キリストへの愛を示したことを思い起こさせる。それは決して易しいことではなかったが,正しい選択をしたことによって,安男は幸福な気持ちになった。

子供に「什分の一を主に」を歌うか歌詞を朗読させる。歌詞を覚えることができるように,数回繰り返して歌わせる。

じゅうぶんのいちをしゅにささげよう

あいするしるしをしゅはよろこぶ

みめぐみをうけたかんしゃのしるし

じゅうぶんのいちをささげましょう

わたしたちは什分の一を納めることにより,天父とイエス・キリストをどれほど愛しているかを示すことができるということを思い起こさせる。

什分の一の納め方

活 動

イエスが地上にいらっしゃたころの人々は,什分の一などの献金を,神殿にある箱に入れていたことを思い出させる。今の時代においては,什分の一は監督会(あるいは支部長会)の人に渡すことを説明する。各生徒に献金用紙と封筒を渡し,什分の一を納めるときには,それらのものを使うことを説明する。用紙の記入方法を説明する。生徒たちが関心を示すようであれば,用紙に書かれているそのほかの項目について簡単に説明する。その用紙とお金を封筒に入れて,監督会(あるいは支部長会)の人に渡すことを説明する。

まとめ

復 習

10枚の10円玉をもう一度見せる。

  • もし10円玉を10枚手に入れたら,什分の一としていくらを封筒に入れますか。

一人の子供に10円玉1枚と献金用紙を封筒に入れさせる。

  • この什分の一を入れた封筒を次にどうしますか。

什分の一を納めることによって天父とイエス・キリストヘの愛を示すことについてあかしを述べる。

金額の多少にかかわらず,お金を得たら什分の一を納めるように勧める。

子供に閉会の祈りをさせる。

楽しい活動

次の活動の中から自分のクラスに最も合うものを選ぶ。レッスンの一部として用いてもよいし,復習やまとめとして用いてもよい。詳しくは「教師へ」の『レッスンの時間』の項を参照する。

  1. 神殿や集会所の建設,伝道活動,教会で使うテキストの印刷など,什分の一の使い道について話し合う。それらのものが,教会員やそうでない人々にどのような祝福をもたらしてきたかについて話し合う。

    生徒に紙とクレヨン(鉛筆)を渡し,什分の一の使い道として採り上げ,話し合ったものの絵を描かせる。

    天父がわたしたちに与えてくださったほかのすべての戒めと同じように,わたしたちは什分の一の律法に正しい態度で従わなければならない。そのことの大切さについて話し合う。

  2. 什分の一を入れるものとして,箱,缶,封筒などをきれいに装飾させる。教師自身がそのような入れ物を持って来る。あるいは日曜日の前に子供に連絡して,各自が作ったものを持って来るように言う。