初等協会テキストと分かち合いの時間
第26課 正義を選んで良い気持ちを味わう


第26課

正義を選んで良い気持ちを味わう

目 的

悪いことをすれば不幸になり,正しいことをすれば幸福になることを理解させる。

準 備

  1. ルカ15:11-24を祈りをもって研究する。

  2. 「笑顔で」(『子供の歌集』128ページ)と「正しい道選ぼう」(『子供の歌集』82-83ページ)を歌うか歌詞を朗読できるように準備する。歌詞は巻末に掲載されている。

  3. 教材

    1. 聖書

    2. 子供全員に小石1個ずつ

    3. 第22課で使った幸せな顔と悲しい顔の絵

    4. 鉛筆またはクレヨン(人数分)

    5. 大きな丸い紙(人数分)

    6. 絵2-46「放蕩ほうとう息子」(『福音の視覚資料セット』220)

  4. レッスンで用いる「楽しい活動」の準備をする。

教師へ:まだ8歳にならない子供は責任能力がないので悔い改めの必要がない。正しいことをするように励ますことは大切だが,過ちに対して罪悪感を持たせてはならない。

レッスン

子供に開会の祈りをさせる。

宿題を出していれば,その確認を行う。

悪いことをすると嫌な気持ちになる

注意を引くための活動

一人の子供に靴を片方脱がせて,その中に小石を入れさせる。そのままはいて,部屋の中を少し歩かせる。小石の入った靴はどんな感じがするか,その子に尋ねる。

物事が正しい状態にないと,不快感を覚え,うんざりした気分になる。そして不快なことばかり考えてしまう。

小石を子供の靴から取り除いて,部屋の中をもう一度歩かせる。前よりはずっと良い気持ちがすることを話させる。

一人一人に小石を渡して靴の中に入れさせ,どんなに不快な気持ちになるかを味わわせる。それから小石を集め,石を取り除くととても良い気持ちになることを理解させる。

小石を正しくない行いと比べる。正しくない行いをしたときは,落ち着かなく嫌な気持ちになる。しかし,正しくない行いをしたことを残念に思い,間違いを正そうとすることは,靴から小石を取り除くことと同じである。不快な気分はなくなり,もう一度幸せな気持ちを味わうことができる。

今日のレッスンは,このような嫌な気持ちを取り除いて,その代わりに幸福な気持ちを得ることについてであると説明する。

嫌な気持ちは良い気持ちに変えることができる

  • 何か悪いことをするとどんな気持ちがしますか。

物語と話し合い

次の物語は,悪いことをして嫌な気持ちになった一人の少女の話である。この少女がどのようにして嫌な気持ちを良い気持ちに変えたか,よく聞いているように言う。

あかねちゃんの友達のはるかちゃんは,小さな果物や野菜などが入った食べ物遊びのセットを持っていました。あかねちゃんはそのおもちゃで遊ぶのが大好きで,自分のものだったらどんなにいいだろうとよく思いました。ある日,はるかちゃんが見ていないときに,あかねちゃんは小さな果物を一つかみポケットに入れてしまいました。そして,だれにも言わずに家に帰って来てしまいました。

  • あかねちゃんはその小さな果物のおもちゃで遊んで楽しかったと思いますか。

あかねちゃんは隠れて遊ばなければなりませんでした。お母さんに見つかると,盗んできたことが分かるからです。あかねちゃんはおもちゃの果物をベッドの下に隠しました。そして,遊ぶときはベッドの下に潜り込みました。欲しがっていたおもちゃは手に入ったのですが,あまり楽しくありませんでした。

  • あかねちゃんは,嫌な気持ちを良い気持ちに変えるのに何ができるでしょうか。

子供たちの答えを認めたうえで,話の続きを紹介する。

お母さんがベッドの下で遊んでいるあかねちゃんを見て,何をしているのか尋ねました。そこであかねちゃんは果物のおもちゃを見せて,どれほど嫌な気持ちかを説明しました。お母さんは,どうしたらもう一度幸せな気持ちになれるかを教えてくれました。あかねちゃんははるかちゃんにおもちゃの果物を返し,ごめんなさいと謝りました。おもちゃを返したあかねちゃんは,気持ちが軽くなったようで,幸せな気分です。そして,間違いを改めたことをうれしく思いました。

  • あかねちゃんはどんな間違いをしましたか。

話し合い

幸せな顔と悲しい顔の絵を見せる。最初に悲しい顔を見せ,次に幸せな顔を見せる。

  • おもちゃを取った後のあかねちゃんの気持ちを表している顔はどちらでしょうか。(悲しい顔にさせる。)

  • あかねちゃんは,自分の間違いを正すために何をしましたか。

  • おもちゃを返した後のあかねちゃんの気持ちを表しているのは,どちらの顔でしょうか。(幸せな顔にさせる。)

わたしたちはだれでも,時々間違ったことをする。間違ったことをすると,嫌な気持ちになる。しかし,ごめんなさいと言って間違いを改めようとすれば,もう一度幸せな気持ちになることができる。

イエスはわたしたちに幸せな気持ちを味わってほしいと思っておられる

教師の提示

ごめんなさいと言うことと,間違ったことを改めるように努力することは,悔い改めの二つのステップである。

「悔い改め」という言葉を復唱させる。

イエス・キリストはわたしたちが正義を選ぶことを望んでおられるが,わたしたちが時々間違った選択をすることも御存じである。主は,間違った選択をしたときに悔い改めて元に戻れるようにしてくださった。悔い改めることによって罪のゆるしを得,また幸せな気持ちになれるようにしてくださったのである。したがって,教会の会員として悔い改めは大切な原則である。

子供たちに,間違ったことをすることは靴の中に小石が入っているのと同じ状態であると話す。嫌な気持ちがする。悔い改めはその石を取り除くことと同じである。石がなくなれば気持ちがいいのと同じように,問題がなくなればまた幸せな気持ちになれる。

聖文の物語

聖書を見せて,この書物の中で救い主は,間違ったことをした後に悔い改めて正しいことをした息子についての物語を紹介しておられることを説明する。この息子が何をしたのか,また父親が息子をどう助けたのかをよく聞くように言う。

教師自身の言葉で,ルカ15:11-24の物語を紹介する。絵2-46「放蕩息子」を適当なところで見せる。

この物語が「放蕩息子」の話と呼ばれることを説明する。「放蕩」とは物を無駄にすることである。弟の方は,もう働くのが嫌だったので,自分が受け継ぐ分をお金でもらうことを希望した。そして,もらったお金を浪費してしまった。良くないことのために使ってしまったのである。

お金を使い果たした弟は,自分が愚か者で間違ったことをしてしまったことに気づく。そして父のもとに戻り,自分のしたことを謝ろうと決意した。彼はもう父親から息子と呼んでもらえる資格はないと思った。そこで,家に帰って父のしもべの一人になることを心に決める。

  • 間違ったことをしていたことに気づいたとき,この弟はどう感じたでしょうか。

ルカ15:20-24を声に出して読む。

  • 息子が帰ったとき,父親はどうしましたか。

  • 父親に温かく迎えられた息子はどう感じたと思いますか。

間違ったことをしていたこの若者が正しいことをするように変わったときに,父親は喜んだ。それと同じように,わたしたちが誤った選択を正すとき,わたしたちの親も天父も喜んでくださる。わたしたち自身も,正しい選択をしたときには幸せな気持ちになる。

わたしたちは幸福な気持ちになることができる

活 動

子供たちに丸い紙と鉛筆またはクレヨンを渡す。これに自分で,幸せな顔と悲しい顔を描かせる。完成した顔を見せて写させる。必要ならば助ける。

間違った選択をした後で主人公がどんな気持ちがしたかを紙の顔のどちらかを上げて示させる。次にどうしたら正しい方に替えられるかを尋ね,替えた後で主人公がどう感じたかを紙の顔で示させる。以下の例を使ってもよいし,教師自身が考えた例でもよい。

  1. 利彦君は学校からの帰り,塀を乗り越えるときに新しいズボンを破ってしまいました。学校の洋服では塀を乗り越えないように今まで注意されていたので,お母さんはきっと怒るだろうなと思いました。

  2. めぐみさんはお母さんからおやつにチョコレートを2枚もらいました。1枚は自分のもの,もう1枚は妹のものです。でも妹がいなかったので一人で全部食べてしまいました。

  3. 謙一郎君は近所の修君の家に遊びに行きましたが,修君は留守でした。帰ろうとすると,修君のおもちゃの自動車が庭に置きっ放しになっていました。そこで謙一郎君はそれを無断で家に持って帰り,遊びました。

  4. 麻子さんは学校へ行く途中,財布を拾いました。後で一人の女の子から財布を見なかったかと聞かれましたが,見なかったと言ってしまいました。

  5. 浩之君は庭で弟と一緒に遊んでいました。弟が気に入らないことをしたので,浩之君は弟を殴り,泣かせてしまいました。

子供たちに紙の顔を手に高く持たせ,「笑顔で」を顔の向きを歌詞に合わせて変えながら歌う。

まとめ

正義を選びさえすれば,いつも幸せな気持ちでいられることをあかしする。わたしたちはまた,間違いを正すときにも幸せな気持ちになる。そして,イエスの教えにより忠実に従えるようになれば,人生において正さなければならないことはだんだん少なくなる。紙の顔を家に持ち帰り,幸せな気持ちと嫌な気持ちについて習ったことを家族に話すように言う。

「正しい道選ぼう」を歌うか歌詞を朗読する。

子供に閉会の祈りをさせる。子供たちが間違いに気づき,それを正せるように天父に願わせる。

楽しい活動

次の活動の中から自分のクラスに最も合うものを選ぶ。レッスンの一部として用いてもよいし,復習やまとめとして用いてもよい。詳しくは「教師へ」の『クラスの時間』の項を参照する。

  1. 「わたしたちは幸福な気持ちになることができる」の項の事例を使い,どうしたら間違った選択をしないで済んだかを話し合う。解決方法をジェスチャーで演じさせる。

  2. 「幸せなら手をたたこう」(『子供の歌集』125ページ)を,正義を選ぶ内容の替え歌にして歌う。 歌詞を朗読してもよい。

     例:

    しあわせなら 助けよう(手をたたく)

    しあわせなら 助けよう(手をたたく)

    しあわせなら 態度で示そうよ

    さあみんなで 助けよう(手をたたく)

    その他の例:

    正直に(口に2回手を当てる)

    貸してあげよう(握った手をてのひらが上になるように片方ずつ開く)

    祈りましょう(腕を組み,頭を下げる)

    最後の節は全部を合わせて歌ってもよい。

    しあわせなら態度で示そうよ

    さあみんなで助けよう(手をたたく),正直に(口に2回手を当てる),貸してあげよう(握った手のひらが上になるように片方ずつ開く),祈りましょう(腕を組み,頭を下げる)

  3. 子供たちを円形に座らせる。復習のための質問をして,だれか一人にお手玉などの柔らかいものを投げ,受け取った子供に答えさせる。答えたらお手玉は教師に投げ返す。一人が少なくとも1回答えるまで続ける。

    その他の例:

    • 靴の中に小石が入っていたらどう感じますか。

    • 何か間違ったことをしたときはどんな気持ちがしますか。

    • あかねちゃんはなぜおもちゃの果物で楽しく遊べなかったのでしょうか。

    • あかねちゃんは,嫌な気持ちを変えるために何をしましたか。

    • 間違ったことを正そうとするとき,わたしたちはどんな気持ちがしますか。