「第29章:教義と聖約77-80章」『教義と聖約 生徒用資料』
「第29章」『教義と聖約 生徒用資料』
第29章
教義と聖約77-80章
紹介とタイムライン
1832年3月,預言者ジョセフ・スミスは,霊感による新約聖書の翻訳を続けた。ジョセフ・スミスが黙示録の研究をしていたときに,主は使徒ヨハネが述べた幾つかの象徴と出来事の意味を啓示された。この啓示は教義と聖約77章に記録されている。
1832年3月1日,教義と聖約78章に記録されている啓示の中で,主は預言者に教会の倉庫と出版を管理するための会社(後に共同商会として知られる)を作るように指示された。また主は聖徒たちが受ける祝福について説明された。3月下旬,預言者は教義と聖約79-80章に書かれている啓示を受けた。この啓示の中で,主はジェレド・カーター,スティーブン・バーネット,イーデン・スミスを,福音を宣べ伝えるように召された。
-
1832年2-3月ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンは新約聖書の霊感による翻訳を続けた。
-
1832年3月教義と聖約77章が与えられた。
-
1832年3月1日教義と聖約78章 が与えられた。
-
1832年3月7日教義と聖約80章が与えられた。
-
1832年3月8日ジョセフ・スミスはジェシー・ガウスとシドニー・リグドンを大神権の大管長会における顧問に指名した。
-
1832年3月12日教義と聖約79章 が与えられた。
-
1832年3月24-25日ジョセフ・スミスとシドニー・リグドンはオハイオ州ハイラムにおいて,夜間に暴徒によって捕らえられ,激しく打たれた。
-
1832年3月29日ジョセフ・スミスとエマ・スミスの養子であるジョセフ・マードック・スミスが亡くなった。
教義と聖約77章:追加の歴史的背景
1831年3月8日に預言者ジョセフ・スミスは新約聖書の霊感による翻訳を始め,1832年7月に最初の翻訳を終えました。それからジョセフ・スミスは翻訳を見直し,1833年2月2日まで改訂を続けました。翻訳の最初の取り組みの間に,預言者は「ヨハネの黙示録の説明」を受けました(in Manuscript History of the Church, vol. A-1, page 192, josephsmithpapers.org)。つまり,黙示録についての一連の疑問に対する霊感による答えを受けたのです。これらの答えは恐らく1832年3月4日から3月20日の間に受けたもので,教義と聖約77章に記録されています。
愛弟子であり啓示者ヨハネとして知られる使徒ヨハネは,イエス・キリストとキリストの福音を証したために,パトモス島に追放されました。そこで新約聖書の黙示録に書かれた啓示を受けました(黙示1:9-10参照)。預言者ジョセフ・スミス(1805-1844年)は次のように説明しています。「ヨハネの目前に天の幕が開きました。そして,示現によって後の時代の暗黒の光景を見通し,終わりの状態に至るまで,すべての後に続く時代を通して起こる事柄について深く考えました。それと同時にヨハネは永遠の世の栄光を見詰め,群れ集まる無数の天使たちを見て,神の声を聞きました。」(in Manuscript History, vol. C-1, Addenda, page 69, josephsmithpapers.org)
預言者ジョセフ・スミスは次のように教えています。「黙示録は,神が書くように命じられた書物の中で,最も分かりやすい書物の一つです。」(in Manuscript History, vol. D-1, page 1523, josephsmithpapers.org).しかしながら,黙示録の多くの比喩的表現と象徴は現代の読み手にとって理解し難いものです。預言者は宣教師たちに,黙示録の中の特定の象徴や詳細について教えないように,その代わりに基本的な福音の原則について宣べ伝えるように忠告しています(see Manuscript History, vol. D-1, page 1523, josephsmithpapers.org)。教義と聖約77章 に書かれている問いと答えを通して,黙示録の最初の11章で使徒ヨハネが表現した幾つかの象徴と出来事について,霊感による解釈が与えられました。
教義と聖約77章
主,黙示録についての質問に対する答えを明らかにされる
教義と聖約77章 。ジョセフ・スミスが黙示録を研究していたときの経験からどのような真理を学ぶことができるでしょうか。
預言者ジョセフ・スミスは新約聖書の黙示録を霊感によって翻訳しているとき,聖句を読んで研究し,主からさらに深い理解が与えられるよう求めて,答えを受けました。この答えは聖文に対する理解がより深くなる助けとなりました。これらの答えは教義と聖約77章に記録されています。ジョセフ・スミスの経験から,聖文をよりよく理解するために,わたしたちが個人の啓示を受けることができることが分かります。十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老は,聖文と現代の預言者の言葉を注意深く研究することによって,啓示を通してさらなる知識を得ることができることを,次のように説明しています。
「聖書やほかの聖典を読み,活用するうえで,わたしたちがほかのほとんどのキリスト教徒と異なるところは,啓示が絶えず与えられると信じている点です。わたしたちにとって,聖文は究極の知識の源ではなく,究極の源から与えられるものです。究極の知識は啓示によって得られます。……
聖文に記されている主の言葉はわたしたちの足もとを照らすランプのようであり(詩篇119:105参照),啓示はランプの明るさを何倍にも増す大きな力のようなものです。わたしたちはすべての人に,聖文と,聖文に関する預言者の教えを注意深く研究し,それが自分にとってどのような意味を持っているのか知るために個人の啓示を求めるように勧めます。」(“Scripture Reading and Revelation,” Ensign, Jan. 1995,7)
教義と聖約77:1。「聖められた,不滅かつ永遠の状態にある地球」
黙示4:6でヨハネが述べている「ガラスの海」とは,日の栄えの王国として「聖められた,不滅かつ永遠の状態にある地球」を表しています(教義と聖約77:1。教義と聖約88:25-26も参照)。日の栄えにふさわしく生活した人は,日の栄えの地球で永遠の受け継ぎを得ることができます(教義と聖約88:17-20参照)。預言者ジョセフ・スミスは次のように教えています。「この地球は,聖められて不滅の状態になると,水晶のようになり,そこに住む者たちにとって一つの『ウリムとトンミム』になる。そして,これによって下位の王国,すなわち低位のすべての王国に関するすべてのことが,そこに住む者たちに明らかにされる。また,この地球はキリストのものとなる。」(教義と聖約130:9。本書の教義と聖約130:9 の解説も参照)
教義と聖約77:2-4。「四つの生き物」
主は預言者ジョセフ・スミスに,使徒ヨハネが見た四つの獣,すなわち四つの生き物は,神の前で永遠の幸いを享受する異なった階級の生き物を表すことを明らかにされました(黙示4:4-8;教義と聖約77:2-3参照)。これらの天の生き物の階級を説明する際に,主は現世での体は霊の形にかたどって創造されたと説明しておられます(教義と聖約77:2参照)。男性と女性の霊の体に関して, 大管長会と十二使徒定員会は次のように述べています。 「すべての人は,男性も女性も,神の形に創造されています。人は皆,天の両親から愛されている霊の息子,娘です。したがって,人は皆,神の属性と神聖な行く末とを受け継いでいます。」(「家族—世界への宣言」『リアホナ』2010年11月号,129)
神の子供たちとほかの動物との幾つかの異なる点については,何年も前,1909年11月に,大管長会によって次のように述べられています。「古代と現代に神から与えられた啓示を信条の基盤とする末日聖徒イエス・キリスト教会は,人は神の直系の子孫であると宣言しています。神御自身,昇栄された御方であり,完全の域に達し,王座に就かれ,至高の域に登られた御方です。神は,全能の力によって,御自身と永遠に共存する霊と元素から地球を組織し,さらにそこにある万物を創造されたのです。神は成長するすべての植物,呼吸するすべての動物をそれぞれの種類に応じて霊的,物質的に形造られました。すなわち,『霊のものは現世のものの形であり,現世のものは霊のものの形である。』神はオタマジャクシやサル,ライオン,象を創造されました。しかし,これらは主御自身の形にかたどって造られませんでしたし,神のような分別と英知も与えられませんでした。それにもかかわらず,すべての動物は来世において完全永久のものとなり,それぞれ『定められた……階級や領域』に分けられ,『永遠の幸い』を享受するのです。この事実はこの神権時代になって明らかにされました(教義と聖約77:3参照)。」(“The Origin of Man,” Ensign, Feb. 2002, 30; see also Improvement Era, Nov. 1909, 81)。
四つの生き物は「幾つかの種類の生き物……に定められた創造の階級や領域における栄光を表」します(教義と聖約77:3)。それらは預言者ジョセフ・スミスが教えたように,実際の生き物でもあります。「ヨハネは天で不思議な形をした動物を目にした。彼は天にいるすべての生き物,つまり,天にいるすべての獣,鳥,魚を見た。あらゆる動物が実際に天にいて,神に栄光を帰している光景を見たのである。……恐らくヨハネは何千種類もの生物が天にいるのを見たものと思われる。これは,幾万幾千という地球のような天体から救われた生物であって,現在のわたしたちには想像もつかない変わった種類の動物がすべて天にいるのを見たのである。荘厳な奥義は,ヨハネに天にあるものを示すことにあった。ヨハネは,神がその御手によって造られたもの,すなわち獣や鳥や魚や人をことごとく救うことによって栄光を受けておられることを知ったのである。……四つの生き物はその創造の目的を達した最も崇高な動物のうちの4つであり,ほかの世界から救われたものである。なぜなら,それらは完全だからである。それらは,その領域において完全である。わたしたちはそれらがどこから来たかは教えられていない。」(in Manuscript History of the Church, vol. D-1, page 1523, josephsmithpapers.org)
教義と聖約77:5。「二十四人の長老」
四つの生き物と同時に,使徒ヨハネは神の前にいて,神を拝み,ほめたたえている二十四人の長老を見ました。主は,これらの長老たちは七つの教会に属すると説明しておられます。これは,ヨハネが手紙を書き送った小アジヤにあるイエス・キリストの教会を意味します(教義と聖約77:5参照)。十二使徒定員会のブルース・R・マッコンキー長老(1915-1985年)は次のように教えています。「このようにして,ヨハネは未来にあるものを見ていました。彼は日の栄えの輝きを受けている幾人かの長老たちを見ていました。彼らはそのときはまだ肉体のない状態でパラダイスにいて,自らの復活の日と永遠の命を受けることを待ち望んでいました。 1836年1月21日に,ジョセフ・スミスが,天の日の栄えの王国において,当時まだこの世に生きていた父母を見たときとのことと原則的には同じです。」(Doctrinal New Testament Commentary [1973], 3:465。教義と聖約137:1-5も参照)これらの二十四人の長老たちについての説明は,イエス・キリストに忠実に従った人たちが受ける報いを表しています。
教義と聖約77:6-7。七つの封印で封じられた巻き物
古代において,巻き物に書かれた重要な書類は,粘土やろうによって封印されていました。これらの封印によって,所有者が明らかになり,読むことが許されていない人からその巻き物は守られました。使徒ヨハネが示現の中で見た,七つの封印された書物,すなわち巻き物には,「明らかにされた神の御心と奥義と業」が書かれていました(教義と聖約77:6-7)。各々の封印は,地球が現世で存続する千年を表しています(教義と聖約77:6-7参照)。ヨハネの示現において,神の小羊であられるイエス・キリストだけが巻き物の封印を解くのにふさわしい御方です(黙示5:1-7;6:1-12参照)。主はそれぞれの封印を解かれました。そして,ヨハネは,地球が現世で存続するそれぞれ7つの千年の間の主の業について明らかにされるのを見ました。封印された巻き物の中でヨハネが見たすべてのものは,やがて明らかにされるでしょう。後の啓示で,福千年の間に,世のすべての時代における「人々の隠れた行い」と「神の力ある業」が明らかにされると主は教えておられます(教義と聖約88:108-110参照)。
教義と聖約77:8。「神から遣わされた四人の天使」
使徒ヨハネは,「四人の御使が地の四すみに立って……地の四方の風をひき止めて」いるのを見ました(黙示7:1)。地の四隅,すなわち,地球の4方向に立っている天使は,全世界に対して力を持っていることを表しており(教義と聖約38:12参照),四方の風は破壊の力を表しています(教義と聖約38:12参照)。ジョセフ・フィールディング・スミス大管長(1876-1972年)は次のように教えています。
「これらの天使たちは,小麦と毒麦のたとえの中で話されている天使たち,すなわち,行って畑の刈り入れをすることを主に嘆願する天使の記述に当てはまります(マタイ13:24-43と教義と聖約86:1〔-〕7&)。彼らは収穫の終わりのときまで,すなわち世の終わりの時まで小麦と毒麦を育つままにしておくように言われました(マタイ13:38-39)。 ……
これらの天使には,地球の四隅を支配する権力が与えられ,また地に住む人々に永遠の福音を伝える権威が授けられています。完全な福音を回復するために,主の前から遣わされた天使はただ一人だけではありません。もろもろの鍵を持ち,この世を訪れて,その鍵を回復した昔の預言者たちは皆,この偉大な回復の業を担ったのです。わたしたちはこの啓示から,諸天を閉じたり開いたりする権能,また生と死,滅亡に対する権限も授けられている4人の天使がいることが分かります。この天使たちは,現在その神聖な使命を帯びて,地上でその働きを進めているのです。」(Church History and Modern Revelation [1953], 1:300–301)
この天使たちの使命についての詳細は,本書の教義と聖約86:5-7の解説を参照してください。
教義と聖約77:9。エライアス
預言者ジョセフ・スミスは,「東から上って来る天使」は「イスラエルの部族を集め,万事を元どおりにするために来ることになっている」エライアスだということが分かりました(教義と聖約77:9)。エライアスという名前または称号は,聖文の中で幾つか異なる用い方がされています。新約聖書の中では,エライアスはヘブライ語の名前エリヤのギリシヤ語形で,古代イスラエルの預言者を表すのに使われています(マタイ17:1-4;ルカ4:25-26;ヤコブの手紙5:17参照)。エライアスという言葉はまた,先駆ける者または回復する者として働く特別な使命を持つ人々に対しても使われる称号です。例えば,教義と聖約77:14では,エライアスという称号は黙示者ヨハネのことを表し,その使命は,「イスラエルのもろもろの部族を集める」ことと「万事を元どおりにする」ことを助けることである述べられています。バプテスマのヨハネは,イエス・キリストの道を備えるエリヤ〔訳注—『新約聖書ではElias(エライアス)がエリヤと訳されている〕として仕えました(マタイ17:11-13参照)。イエス・キリストは,福音とメルキゼデク神権を回復するエライアスとして働かれました(『聖句ガイド』内「聖書のジョセフ・スミス訳〔抜粋〕ヨハネ1:20-28参照)。エライアスと呼ばれる人が,カートランド神殿において預言者ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリにアブラハムの福音を回復しました(教義と聖約110:12参照)。この称号は,先駆ける者,集める者,回復する者としての使命を与えられた多くの人々に用いられています(教義と聖約27:6-7;77:14参照)。(『聖句ガイド』「エライアス」の項,scriptures.lds.org参照。)
黙示録の中で使徒ヨハネが言及しているエライアスとは,この最後の神権時代において,地上に福音の知識と神権の鍵を回復する人々の総称であると考えられます。ブルース・R・マッコンキー長老は次のように教えています。「どの預言者も回復の責任のすべてを負っていたわけではなく,むしろそれぞれが特定の賜物を天から携えてきたことが明白であることから,エライアスが複数の人物であることも明らかになります。この呼称は,最後の神権時代において人類に鍵と権能を委ねることを使命とした方たちの名前および称号であると理解する必要があります。」(Mormon Doctrine, 2nd ed. [1966], 221)
ヨハネは,エライアスは「生ける神の印を持って〔いる〕」と述べており,(黙示7:2。教義と聖約77:9も参照),またエライアスの使命は「神の僕らの額」に印を押すことであると知りました(黙示7:3;教義と聖約77:9も参照)。預言者ジョセフ・スミスは,この印を押すということは,「彼らの頭に祝福を結び固めること,すなわち永遠の聖約であり,それによって彼らの召しと選びを確実なものとすることを意味する」と教えています(in Manuscript History of the Church, vol. E-1, page 1690, josephsmithpapers.org)。正当な神権の権能によって救いの儀式を受けて,交わした聖約に忠実な者には,昇栄の祝福が結び固められます。この結び固めは,悪人のうえに下される神の裁きから忠実な人を守ります(黙示9:4;16章参照)。
教義と聖約77:11。「十四万四千人〔に〕……印を押す」
黙示7:3-8の中に述べられている十四万四千人に印を押すことが,日の栄えの王国に昇栄する人々の人数だと考える人もいます。しかし主は,これは,「永遠の福音をつかさど〔り〕」,「長子の教会」に人々を導く助けを行うために,「あらゆる国民,部族,国語の民,民族の中から聖任される」大祭司の人数であることを明らかにされました(教義と聖約77:11)。預言者ジョセフ・スミスは,長子の教会とは,救い主の天の教会であり,神の日の栄えの王国に昇栄するすべての人から成り立つ教会のことを指していることを知りました(教義と聖約76:54;88:4-5参照)。このように,十四万四千人とは,末日に人々をイエス・キリストのもとに導き,彼らが昇栄できるように助ける人のことです。
教義と聖約77:14。ヨハネの使命は,イスラエルの部族の集合を助けることである
天使が使徒ヨハネに与えた「小さな巻物」は(黙示10:2),黙示5章で述べられている七つの印で封印された巻き物ではありませんでした。この小さな巻き物は,回復の一部としてイスラエルの集合を助けるというヨハネの使命を表しています。ヨハネは「それを食べてしま」わなければなりませんでしたが(黙示10:9),それは神の言葉を味わい,神が与えられた使命を受け入れなければならなかったという意味です。1831年6月の教会の大会におけるジョン・ホイットマーの説明によると,「主の御霊がいつもとは違う形でジョセフ〔・スミス〕に注がれ,〔彼〕は黙示者ヨハネがそのとき〔アッスリヤ〕の王シャルマネセルによって連れ去られたイスラエルの十部族の中におり,彼らが先祖の地を再び所有するために,長きにわたる散乱から帰還できるよう彼らを備えると預言しました。」(in The Joseph Smith Papers, Histories, Volume 2: Assigned Histories, 1831–1847 ed. Karen Lynn Davidson and others [2012], 39)主は使徒ヨハネのことを,「来て万事を元どおりにする」エライアスであると言及しておられます(教義と聖約77:14)。エライアスとしてのヨハネの役割として,彼はペテロとヤコブとともに預言者ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリを訪れて,メルキゼデク神権の鍵を回復しました。
教義と聖約77:15。エルサレムの二人の証人とはだれのことでしょうか
使徒ヨハネは示現の中で真理を証する大いなる力を持ち,ついにはエルサレムで殺される二人の証人を見ました(黙示11:3-8参照)。主は預言者ジョセフ・スミスに,この二人の証人とは「終わりの時,回復の時にユダヤ民族に対して立てられ」る預言者であることを明らかにされました(教義と聖約77:15)。ブルース・R・マッコンキー長老は次のように教えています。「この証人とはだれのことでしょうか。ジョセフ・スミスに従う人々であるということを除いて,わたしたちには分かりません。彼らはメルキゼデク神権を持つ末日聖徒イエス・キリスト教会の会員です。主はすべての時代の人々に常にどのように対処してこられたかを知ったうえで,この二人の証人は十二使徒定員会の会員もしくは大管長会の二人と考えるのが妥当だと思われます。」(The Millennial Messiah: The Second Coming of the Son of Man [1982], 390)
教義と聖約78章:追加の歴史的背景
1831年2月に与えられた啓示の中で,主は聖徒たちに,貧しい人々のために余剰品と金銭を集めるために,倉を建てるよう命じられました(教義と聖約42:34-35参照。教義と聖約51:13も参照)。オハイオ州カートランドのニューエル・K・ホイットニーの商店は,一つの倉として運営されており,シドニー・ギルバードはミズーリ州インディペンデンスで別の倉を建てました(教義と聖約57:8-10;72:8-10参照)。これらの倉は聖徒たちに必要な物資を供給するだけでなく,土地を購入するために必要な収入や,主が預言者ジョセフ・スミスに与えられた啓示を出版するための資金も生み出していました。さらに主は1831年11月,ジョセフ・スミス,オリバー・カウドリ,ジョン・ホイットマー,シドニー・リグドン,マーティン・ハリス,ウィリアム・W・フェルプスを「数々の啓示と戒めについての管理人」として任命されました(教義と聖約70:3)。このグループには啓示の出版を監督する責任がありました。その働きに対して,出版された啓示を販売することを通して生じた利益から報酬を受け取ることになっていました。主は,必要以上の利益はすべて,シオンの聖徒の益となるように主の倉に納めるよう指示されました(教義と聖約70:7-8参照)。
1832年3月1日,預言者ジョセフ・スミスはオハイオ州カートランドで大祭司の兄弟たちと会って,恐らく教会の商取引と出版の取り組みについて話し合ったようです。この集会の間に,預言者ジョセフ・スミスは教義と聖約78章に記録されている啓示を口述しました。その後,例えば倉などの教会の資産や財政をよりよく管理するために,共同商会が創設されました。共同商会で教会の出版業務を管理していた部門は,「書籍出版会社」と呼ばれました。
教会が運営するこの組織を教会の敵から守るために,この啓示が教義と聖約1835年版の中で初めて出版されたとき,この啓示とほかの啓示の言葉が少し変更されました(教義と聖約82章 ;92章;96章; 104章参照)。この初期の版では,人や場所や活動を表すのに,別称や仮名が使われていました。これは恐らく教会の敵が,シオンを築くという教会の目的を損なうために情報を奪おうとすることを防ぐために行われたものと考えられます。教義と聖約の後の版では,仮名は実名に戻されました。
教義と聖約78章
主はジョセフ・スミスに共同商会を設立するように指示され,戒めを守る者に祝福を授けることを約束される
教義と聖約78:3-4,8-9。共同商会,すなわち共同制度
2013年版の聖典〔英語〕では,教義と聖約78章の前書きには次のように書かれています。「〔共同商会〕解散後のあるとき,預言者ジョセフ・スミスの指示の下に,『商取引と出版業務』という啓示の中の言葉が『貧しい者のために倉の諸事』という言葉に置き換えられ,また,『商会』という言葉は『制度』に置き換えられた〔教義と聖約78:3-4,8参照〕。」
教義と聖約の中の商会と共同商会という言葉は後に,制度と共同制度に変更されました(教義と聖約78:4,8 ;82:20;92:1;104:1,5,10,47-48,53参照)。 教義と聖約の中で用いられている共同制度という言葉は,共同商会を表しているのであって,聖徒がアメリカ合衆国西部に入植した数年後に築かれた様々な共同または協同共有の制度と混同しないようにする必要があります。共同商会は,オハイオ州カートランドとミズーリ州インディペンデンスにおいて,奉献の律法を基にした預言者ジョセフ・スミスと限られたそのほかの教会指導者の事業提携でした(教義と聖約82:11-12;92:1-2;96:8参照)。1832年4月から,主がジョセフ・スミスに提携を解消するよう命じられた1834年4月まで,共同商会は教会の運営に重要な役割を果たしました。共同商会は教会の事業において,奉献の律法がどのように実行されるかを示す一つの例となっています。
共同制度とその組織と目的,解散の理由についての詳しい説明は,本書の教義と聖約82:8-12,15-24の解説,および教義と聖約104章の解説を参照してください。
教義と聖約78:4。「不変かつ永遠の組織」
共同商会は2年後に解散されましたが,奉献の律法と貧しい人と乏しい人を世話するという原則は,末日聖徒イエス・キリスト教会の不変の特徴です。聖徒たちが「心を一つにし,思いを一つに」するように努めるときに,義のうちに住むことができ,「彼らの中に貧しい者はいな」くなります(モーセ7:18)。
教義と聖約78:5-7。日の栄えの王国に一つの場所を得るために備える
教義と聖約78章 に書かれた啓示の中で,主は,聖徒たちが奉献の律法の原則に従って生活することにより,「地上のものにおいて平等」になるように指示を与えられました(教義と聖約78:6)。「地上のものにおいて平等」となることは,すべての人が同じものを所有するということではなく,各々異なる事情や必要に応じて,受取分を平等に要求することです(教義と聖約51:3;82:17参照)。この原則に従って生活する聖徒たちに,主は持てるすべてを与えられることと,「天のものとのきずなにおいて平等にな〔る〕」ことを約束されました(教義と聖約78:5)。
わたしたちが貧しい人と困っている人の世話をし,持てるすべてを主にささげるとき,日の栄えの世界で一つの場所を受ける備えをすることになります。もし末日聖徒が「聖徒としてふさわしく彼らの中の貧しい者や苦しんでいる者に持ち物を分け与えない」なら,「日の栄えの王国の律法により求められている和合一致に従って結束していない」ことになります(教義と聖約105:3-4)。預言者ジョセフ・スミスは次のように教えています。「神は御自分の声に従い,その戒めを守ったすべての人を,いつ御自分の日の栄えの安息に招き入れるかについて,御自身の胸の内に定められた時または時期を用意しておられます。この安息は完全かつ栄光に満ちたものであるため,人はその王国の律法に従ってその安息に入り祝福を受ける前に,準備をする必要があります。この事実から,神は人類家族に特定の律法を授けてくださっているのであり,それらの律法は,もし従うならば,神の安息を受け継ぐ十分な備えを人にさせるのです。すなわち,これこそ神がわたしたちに律法をお与えになった目的なのです。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』164)日の栄えの王国に昇栄する人は,神の完全と恵みを受けたので,力において,威勢において,支配において,神と等しい者とされると主は約束しておられます(教義と聖約76:95;88:107参照)。
教義と聖約78:10。サタンはわたしたちの心を真理からそらせ,目をくらまそうとしている
イエス・キリストの福音が回復されたことによって,すべての人が霊的な真理を学び取ることができるようなりました。そのおかげで,罪悪を捨て去り,過ちや偽りを避けることができます(教義と聖約6:11;50:25;66:1;93:36-37,42参照)。 主は聖徒に,サタンは「彼らの心を真理からそらそうとしている」と警告されました(教義と聖約78:10)。神の子供たちが戒めに従うとき,真理を受けますが(教義と聖約93:28参照),従わないときには,真理を失います(教義と聖約93:39;138:29参照)。従順でない人は,「目をくらまされた者となり,彼らのために備えられている事柄を理解し」なくなります(教義と聖約78:10)。
十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード長老は次のように教えています。「サタンの巧妙な戦術の一つは,現在だけに目を向けて,将来に目をつぶるよう誘惑することです。主はジョセフ・スミスにこう警告しておられます。『サタンが彼らの心を真理からそらそうとしているので,彼らは目をくらまされた者となり,彼らのために備えられている事柄を理解しないであろう。』(教義と聖約78:10)『彼らのために備えられている事柄』とは,従順の結果もたらされる報い,つまり永遠の命を指しています。悪魔はこれらの報いを見えなくしてしまうのです。ヒーバー・J・グラント大管長は次のように述べました。『神の戒めを忠実に守るならば,天与の約束は一言半句も違わずに成就するであろう。……困るのは,人類の敵が人の心を盲目にさせる点である。サタンは,言わばちりを人の目に置いて,この世のものしか見えなくしてしまうのである。』(Gospel Standards, Salt Lake City: Improvement Era, 1942, pp. 44–45.)永遠の幸福を生じる事柄に思いと努力を集中させないために,サタンはこの世の刹那的な快楽をもって人を誘惑します。この卑劣な敵の戦術には,十分な注意が必要です。」(「力に先駆ける清さ」『聖徒の道』1991年1月号,39参照)
教義と聖約78:11-12。「盟約,すなわち永遠の聖約によって,自らを……組織しなさい」
預言者ジョセフ・スミス,ニューエル・K・ホイットニー,シドニー・リグドンとほかの指導者たちは,1832年4月に教会のほかの指導者たちと会って,ミズーリ州インディペンデンスとオハイオ州カートランドに倉を持つ共同商会を正式に組織するために,ミズーリに行きました。 ウィリアム・W・フェルプスとシドニー・ギルバードは,その商会のために「盟約〔書面による契約〕,すなわち永遠の聖約」を準備する責任が与えられました(教義と聖約78:11)。この聖約を交わすことにより,教会の指導者たちは自分たちの持ち物を共同商会に奉献することと,この商会の負債に共同責任を負うことに同意しました。もしこれらの指導者がこの聖約を破るなら,教会における自分の職を失い,サタンの影響を受けやすくなるであろうと主は警告されました(教義と聖約78:12参照)。
教義と聖約78:13-14。「教会が……自立するためである」
共同商会の会員は,奉献の律法に従って生活することで,物質的な資源の基が築かれ,教会が経済的に自立して,その神聖な目的を達成できるという約束が与えられました。教会は自立する術を持つべきだという主の命令は,末日聖徒がこの世に良いものをもたらすために働く際に,ほかの人々から隔離されなければいけないという意味ではありません。今日,教会は,世界中の困っている人を助けるために,しばしばほかの教会や組織の人々とともに人道支援活動を行っています。十二使徒定員会のラッセル・M・ネルソン会長は次のように説明しています。
「主は回復された教会の指導者たちに指示を与え,『教会が……自立するため』に教会の信条に対する教会員の誠実さを培い,維持するように命じられました〔教義と聖約78:14〕。
同時に,教会員は同じ志を持つ人々とともに『善を行う』ように勧められています。地震や洪水,ハリケーン,そのほかの災害のときに示された多くの英雄的な奉仕の業に携わった人々の模範に感謝します。災害に遭った隣人を助けるために協力するとき,宗教や人種,文化の壁は取り除かれます。こうした善行こそが末日における愛の実践なのです。
この教会の会員による救援活動は,広範囲にわたり,国際的規模で行われ,たいてい公表はされません。」(「赦しと愛とを持たしめたまえ」『聖徒の道』1994年7月号,73参照)
教義と聖約78:15-16。アダム・オンダイ・アーマン
預言者ジョセフ・スミスは,ミズーリ州北部がアダム・オンダイ・アーマンの場所となることを明らかにしました。アダム・オンダイ・アーマンとは,アダムとエバがエデンの園を追い出された後に住んだ場所です(教義と聖約116章 参照。本書の教義と聖約116章の解説も参照)。預言者によると,アーマンという言葉はアダムの純粋な言語で神の名であり,「子なるアーマン」は神の御子の名,すなわちイエス・キリストのことを指します(see The Joseph Smith Papers, Documents, Volume 2: July 1831–January 1833, ed. Matthew C. Godfrey and others [2013], 213–15。教義と聖約95:17も参照)。アダム・オンダイ・アーマンはアダムがその義にかなった子孫とともに聖なる評議会を開いた場所です(教義と聖約107:53-57参照。本書の教義と聖約107章の解説も参照)。この場所で,救い主の再臨に先立って,主とアダム,それからアダムの義にかなった子孫による大いなる会議が将来開かれます(ダニエル7:9-10,13-14;教義と聖約27:5-14;116章参照)。
1832年3月に与えられた最初の啓示では,アダム・オンダイ・アーマンとミカエルに関する情報は含まれていませんでした。この追加情報は,1835年の夏,教義と聖約の出版を準備していたときに,霊感によって与えられました。教義と聖約78章に記録されている啓示に対しての変更には,15節の「アダム・オンダイ・アーマンの基を設けた」という文節,16節のすべて,20節の「子なるアーマン」という称号の追加が含まれています(See Alexander L.Baugh, “The History and Doctrine of the Adam-ondi-Ahman Revelation (DC 116),” in Foundations of the Restoration: Fulfillment of the Covenant Purposes, ed. Craig J. Ostler, Michael Hubbard MacKay, and Barbara E. Morgan [2016], 165–66)。
これらの追加によって,ミカエル(アダム)が,「聖者〔イエス・キリスト〕の勧告と指示の下における救いの鍵」を所持していることが明らかになりました(教義と聖約78:16)。預言者ジョセフ・スミスは次のように教えています。「神権は最初アダムに与えられました。アダムは大管長の職を得,代々その鍵を持ちました。……アダムはそれを,世界が造られる前,創造の時に得ました。……アダムは生けるものすべてを治める力を授けられました。アダムは聖文の中で語られている天使長ミカエルです。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』103-104)預言者はさらに,イエス・キリストの福音が回復されるときはいつでも,神権の鍵が「天から……もたらされなければな〔らず〕」,「それらが天から現されるとき,それはアダムの権能によります」と説明しています(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』104)。
教義と聖約78:17-22。「すべてのことを感謝して受け入れる者」
主は,天父が取って置かれている大きな祝福を理解することについて,聖徒を幼い子供にたとえておられます。主はこれらの祝福のことを「永遠の富」と言われました(教義と聖約78:18)。この富には,栄光に満ちた復活した体,神の王国における日の栄えの受け継ぎ,永遠の家族,昇栄が含まれます。死すべき人間の思いでこのような輝かしい祝福について理解することは困難です。この理由から,使徒パウロはコリントの聖徒たちに次のように教えています。「『目がまだ見ず,耳がまだ聞かず,人の心に思い浮びもしなかったことを,神は,ご自分を愛する者たちのために備えられた』のである。」(1コリント2:9)
主は,忠実で,奉献の律法に従って生活するすべての人に「すべてのもの」を用意してくださっています(教義と聖約78:22)。また,「すべてのことを感謝して」受け入れる者には栄光を約束しておられます(教義と聖約78:19)。すべてのことを感謝して受け入れることができる方法の一つは,感謝する性質を身に付けることです。大管長会のディーター・F・ウークトドルフ管長は次のように教えています。
「感謝することを一つの性質として,現在の状況がどうであろうと実践できる生き方として捉えてはどうでしょうか。つまり,『物事に対して感謝する』よりも,どのような状況にあろうと,『自分の置かれた状況にあって感謝する』ことに意識を向けるということです。……
このような感謝の精神は,周りで起こっているあらゆることを超越します。それは失望や落胆や絶望に勝るものです。氷で覆われた冬の風景の中でも,夏の気持ち良い暖かな季節と同じように美しい花を咲かせます。」(「どんな状況にあっても感謝する」『リアホナ』2014年5月号,75)
教義と聖約79-80章:追加の歴史的背景
教義と聖約79章と 80章に記録されている啓示の中で,ジェレド・カーター,スティーブン・バーネット,イーデン・スミスの3人が福音を宣べ伝えるように召されました。ジェレド・カーターはニューヨーク州コールズビルでバプテスマを受けた後,コールズビルの聖徒たちとともにオハイオに移りました。1831年秋,東部への伝道の旅に出て,オハイオ州,ペンシルベニア州,ニューヨーク州,バーモント州で福音を宣べ伝えました。5か月間福音を宣べ伝えた後,オハイオの自宅に戻りました。数週間後,預言者ジョセフ・スミスを訪れて,自分の次の伝道について尋ねました。1832年3月12日,ジョセフ・スミスは教義と聖約79章に記録されている啓示を受けました。
スティーブン・バーネットは1830年11月,16歳のときにオハイオ州ウォーレンズビルで教会員となりました。翌年,オリバー・カウドリによって大祭司に聖任されました。1832年1月の啓示の中で,スティーブン・バーネットはラグルズ・エイムズとともに伝道に召されました(教義と聖約75:35参照)。彼がこの召しを果たしたかどうかは不明です。2か月後の1832年3月7日,預言者は教義と聖約80章に記録されている啓示を受け,スティーブン・バーネットをイーデン・スミスとともに福音を宣べ伝えるように召しました。しかし,イーデン・スミスが病気になったので,スティーブン・バーネットはイーデンの父であるジョン・スミスとともに伝道の召しを果たしました。(このジョン・スミスは預言者ジョセフ・スミスのおじと同一人物ではありません。)
教義と聖約79-80章
主,ジェレド・カーター,スティーブン・バーネット,イーデン・スミスに伝道の召しを与えられる
教義と聖約79:1-3。「聖任を受けたその聖任の力」
主はジェレド・カーターに「聖任を受けたその聖任の力」をもって伝道の召しを果たすように忠告されました(教義と聖約79:1)。福音を宣べ伝えるように召された人は任命されて,福音を教え,人々をイエス・キリストのもとに導く助けをする権能が与えられます。元中央扶助協会会長のジュリー・B・ベック姉妹は次のように教えています。「伝道の召しを受ける男女は皆,主の業を行うように任命され,キリストの福音を宣べ伝える権能を与えられます。」(「豊かに注がれる祝福」『リアホナ』2006年5月号,12)
1832年4月25日,ジェレド・カーターはこの権能をもって伝道に行きました。伝道は6か月と2日続きました。ジェレド・カーターは次のように記録しています。「主はわたしが79人を福音に導くことをお許しになりました。そして,伝道を通してほかの多くの人々に最も栄光ある業について確信させることができました。」(Journal of Jared Carter, typescript, 20, Church History Library, Salt Lake City)ジェレド・カーターが改宗に導いた人の中には,ジョン・タナーとエリザベス・タナーがいました。ジョン・タナーは裕福な実業家でしたが,足を痛めていました。ジェレド・カーターはジョン・タナーの癒しについて次のように述べています。「主は,ジョン・タナーという名の足の不自由な人に憐れみをかけられました。ジョンは足が悪いので,片方の足では体重を支えられないほどでした。ジョンは数か月の間足を痛めていましたが,わたしたちは彼がモルモン書を信じていることが分かりました。わたしは彼にキリストの御名によって歩きたいか尋ねると,彼はそうしたいと言いました。そこでわたしは彼の手を取って,キリストの御名によって歩くように命じると,彼はキリストの力によって歩けるようになりました。」(Journal of Jared Carter, 19)ジョン・タナーは改宗後,オハイオに移り,カートランド神殿の敷地を購入するうえでの負債を返済するためと,神殿の建設費用のために数千ドルを寄付しました。このことは預言者ジョセフ・スミスとほかの教会指導者たちの祈りに対するこたえでした。